表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/75

断われない時ってあるよね。

受付嬢の名前と幼馴染の名前が一緒だったので訂正しました( ;∀;)

 気が付くと俺は別室のギルドマスターの部屋に連れていかれた。

「アルスさんこちらにお座りください。」


 そう言って座るようにうながされる。

 なぜか俺の後ろには屈強な冒険者たちもぞろぞろと部屋に入ってくる。

 いったい何が始まると言うのだろう。


「君が…あのレノバを倒したって言うアルス君か。初めまして、私がここのギルドマスターをしているサイゴンだ。」


「よろしくお願いします。ところで状況がよくわからないんですが、これはいったい…。」

 サイゴンと名乗った人は元冒険者出身なのか、かなり強い存在感を放っている。

 俺でも戦ったらかなり苦戦をするだろう。


「君は今回ゴブリンロードやゴブリンナイト、ゴブリンメイジなどの討伐証明を提出してくれたということなんだが、それは本当か?もちろん疑っているわけではないのだがそれが事実なら大変な事になりかねないのだが。」


「本当ですが、大変な事というのは?」


「普通ゴブリンは群れをなすがいたとしても数十匹だ。それが今回君が討伐してきた数は正直異常だ。ゴブリンの異常繁殖に遭遇した可能性がある。スタンピードという言葉を聞いたことは?」


 スタンピードというのは魔物の暴走という意味だったはずだ。


「聞いた事あります。それがゴブリンで起きた可能性があるって事ですか?」


「その通りだ。至急場所を教えて欲しい。」

 そこの辺りにいたゴブリンは全部倒したはずだが、それでも心配だと言うならば教ることに別に問題はない。


 ただ、さっきから後ろの方の冒険者がコソコソと

「どうせ、誰かが倒したゴブリンの耳をとってきただけだろ。」

 とか、

「新人がゴブリンロードを倒せるわけない。」


 とか言っているのが気になる。

 倒したのはクラウドだ。

 俺は別に手をだしていない。

 まぁここでも結局新人や弱い人間が差別されるのは仕方がないことだが正直気分がいいものではない。


 俺は相手にせずに、

「ちょっと地図を出してもらってもいいですか?」

 そう言って地図を出してもらう。

 俺はそこの地図にゴブリンたちがいた所を指し示す。


「リズ、ここに至急斥候を送ってくれ。」


「わかりました。」

 今まで名前を気にした事が無かったが、ずっと受付をしてくれていた人はリズというらしい。

 リズさんは何人かの冒険者を引き連れて部屋から出ていく。

 そろそろ暗くなってくるが今から行くのか。

 冒険者というのは夜も仕事で大変な仕事のようだ。


「それじゃあ俺はそろそろ…。」

 そう言って部屋から出ようとすると、


「アルスくん。申し訳ないが斥候が戻ってくるまで待っていて欲しい、もしゴブリンが残っていたら倒すのに力を借りたい。もちろん先ほど提出してくれた討伐証明の代金は支払うし、特別報酬の準備もしている。それにもしスタンピードならこの街全体が危険に陥る可能性があるんだ。」


 そう言われてしまうと無下に断ることは出来ない。

 ただ、明日も学校があるのであまり遅くまではいたくない。

 ゴブリンなんて何匹出てきても所詮はゴブリンなのに。

 大の大人がそんなに騒ぐ事ではないと思ってしまう。


 さらに長居してあの人に出会う事になってしまうと…


『バーン!!』


「私のアルスくんが来ているっていうのは本当!?」

 あぁ。こういうフラグは本当に回収しなくていい。


 そこにはレノバお姉さんがいた。


「やっぱり私が見込んだアルス君ね。」

 そう言って横にサラッと座ってくる。距離が近い。


「レノバお姉さん、先日は登録料ありがとうございました。」


「いいのよ。約束だし。」

 なんだろう。前回よりもちょっと勢いがなくなって顔を赤くしてもじもじしている。

 こんなおっさんの乙女の様な態度は誰も求めてない。


 ただ、俺の後ろでブツブツ言っていた冒険者たちはレノバお姉さんの知り合いと分かっただけで陰口が無くなった。むしろ、


「レノバさんをお姉さんって頭が…。」

「異常だろ。」

「いろんな意味でおかしいだろ。」


 等と、レノバお姉さんの近くにいるだけでやっぱり風評被害が。

 ただ、なんだろう。この人のこと邪険にはできない。

 というかすごく違和感がある。


 おっさんなんだけど…ちょっとドキドキする!?

 やばい。俺はおっさんに恋する気はない。

 でも…今までよりも近くによったことで魔力の違和感を感じる。


 この魔力の感じは認識阻害系の魔法だった気がする。

 でもこれほどまでに感じさせない認識阻害は初めて見た。

 これはもしかして、異世界冒険譚でも書いてあったが女性の化粧ってやつだろうか。

 確か女性は化粧で怪物にも美人にもなると書いてあった。


 もしかしたらば、レノバさんも認識阻害で美人になろうとしているのかも知れない。

 そうなると、わざわざそれを聞くのは野暮と言う奴だ。

 ただ、もう少しキレイになる方法もあっただろうに。


 それからしばらくして斥候に行った冒険者が戻ってきた。

「ギルドマスター!ゴブリンたちが全部一撃で倒されていました!倒された中にゴブリンキングも混ざってました。」


 部屋の中に動揺が広がる。

 唯一レノバお姉さんだけはまったく気にもせず、なぜか俺の手を握ろうとしてきて勝手に別の意味で動揺している。やめて欲しい、おっさんと手を繋ぐ趣味はない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説書籍化しています。 ぜひ手に取ってもらえればと思います。 テイマー養成学校 最弱だった俺の従魔が最強の相棒だった件
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ