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終幕
一人称 麻衣子視点
私は気持ちのいい風にあたり、どこかスッキリした気持ちでバルコニーからリビングに戻った。窓を閉めると風音が耳から去っていく。
目の中に映り込んでくる死体。
私は茫然とその光景を見つめている。
悲しいとか、苦しいとか、そんな感情があるわけじゃない。ただ、ほんの少しだけ寂しさはあるのかもしれない。
ふと、軽快な曲が聞えてきた。
テレビ画面に目を向けると、討論が続いていた番組は終わったようで、青々とした芝生の上で大勢の老若男女がコハク色の液体の入ったジョッキを手に笑顔を振りまいている。ジョッキを合わせるたびに泡と笑顔が弾けている。
何だかこっちまで楽しくなる、そんなCMが画面に映っている。
私が罪に問われる事はない。
私は自由。
明日からは好きに生きていこう。




