風に乗って詩を謡おう
この詩はナンセンス詩です。
「おはようございます、佐藤さん」
あぁ、おはよう。
目覚めはコンピューターとの挨拶から始まる。
鏡を見ると、そこにはこの世のものとは思えないハンサムがいた。俺のことだがね。
食卓には食塩と胡椒とガソリンがおいてあった。
おいおい、これでどんな朝食を食えと言うんだい、キャサリン・F・真理子。
キャサリン・F・真理子は万能お手伝いアンドロイド(通称キャシー)だったが、年代物で、特にルックスは時代遅れだった。
「故障と胡椒をかけたのですわ、ミスタ佐藤」
そんなことより、ネクタイの今日の柄を考えてくれキャシー。この世のものとは思えないほどハンサムなこの俺に似合うゴージャスなネクタイをね。
外の風はまるで日常を祝福しているようだった。全てのものに感謝しようという気持ちになれた。
白い猫が歩道を歩いていたから、追いかけた。よく見るとスーパーのビニール袋だった。
俺はそのまま走り続けた。いつもより体が1割ほど軽く感じられた。
そういえば高校のころ、銀河を英語で何というかと聞かれてギャランドゥーと答えてしまった苦い思い出がある。英語の教師、坂崎洋二先生は今、38歳のはずである。やつは元気だろうか。
などと考えていたら学校に遅刻しそうになった。覚えていやがれギャランドゥー坂崎。貴様との勝負はこれからなんだぜ?
とかなんとか思っていたら、雨が降ってきた。
礼は要らないぜといって坂崎は傘を貸してくれたっけ。でも領収書も入っていたっけ。
そして私は風になった。