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ドラゴンフライ


 幼体の雌ドラゴンを人型にすると、幼女になった。

 つまりそういうことで、何の不思議もない。

 決してド変態の大魔導師のせいでないことが分かって、安心した。


 それによく見ると、人型になったリーザも変わった部分が幾つかある。

 耳は大きく尖っているし、瞳は黄金色のタイガーアイ、背の半ばまで覆う髪は紅葉よりも赤い。

 そして何より、丸出しのお尻には短い尻尾があった。

 この尻尾を左右にふりふりしながら、短くなった自分の手を物珍しげに眺めている。

 

「はいはい、男性は出ていって下さいねー。リーザちゃんに服を着せますからね」

 久々に見た魔法らしい魔法に、呆然としてるとこをルシィに追い出される。


「わ、わしもか? リーザの父親みたいなものじゃぞ?」

「お父さんが娘の着替えを見ていいはずありません!」

 こちらもあっさり追い出された。


 ビンチと二人で待つことになったが、それにしても。

「意外と簡単に成功しましたね」

「うむ。わしもちょっとびっくりじゃ」

「あれで子供だとは思いませんでした。けど、成長すると美人になるかもしれませんね」

「成竜になれば今の倍にはなろう。力は比べ物にならん。まあ、あと百年はかかるの。流石のわしも生きてはおらんな……」

 魔法を成功させた満足感か、リーザの行く末を見届けられぬ寂しさなのかは、老魔導師の顔から読み取れなかった。


「おまたせしまたー!」

 三人娘が元気よく出てきた。

 一番小柄なイリスの服を着せられたリーザだが、それでも裾も袖も折っている。

 あとで直すことにして、まずは五人で食事にすることにした。

 ところで、ドラゴンって何を食べるのだろう?


「はい、あーん。えらいねーかわいいねー」

 いきなり出来た妹分に、ルシィはすっかり夢中だ。

 いや彼女だけでなく、イリスも世話を焼こうと手を出して取り合う。

 それを優しく見つめるビンチお爺ちゃん、子供が一人加わっただけで、一気に空気がほのぼのになる。


 そういや、最初は剣の相手にって話だったけど、これは無理かな?

 ちなみにリーザは、何でも食べた。

 ところが、食事が終わるとリーザがとことこやってきて、剣を振る真似をする。

 まさかとは思うが、修行の相手をしてくれるのだろうか。


「修行、手伝ってくれるの?」

 これに二対並んだ牙をみせて笑顔で答える。

『きゅー』とか『ぴー』って感じの声だ、まだ言葉は話せないのかな。

 気持ちは有り難いのだが、せいぜい俺のお腹ほどの身長しかなく、いくら何でも無理だろうと思ったのだが。


「遠慮せずに鍛えてもらえ。その大きさでも、お主の百倍は強い」

 いやいやそれは言い過ぎでしょう! そこまで言うなら相手してもらおうか。

 庭へ行こう、リーザへそう合図したのだが……それを見ると、いきなり服を脱ぎだした。


 うわっと慌てて目をそらすと、ルシィとイリスが慌てて止めに入る。

「服は脱いじゃ駄目ですー!」

 そう叫ぶルシィに『きゅうー』と返す。

 どうやら、動きにくいから脱ごうとしたらしい。


 元がドラゴンとはいえ、全裸の少女と戦うのはこの世界でもアウトだ。

 そんな訳で、先にリーザの服を買いに行くことになった。

 ここへはアグレスから七日かけて来たのだが、なんとリーザが乗せてくれると。

 ドラゴンに乗って飛べるとは感慨深いものがある。


 この一大イベントには、ビンチを除く三人が立候補して全員乗せてもらえることに。

 ついでに食料の買い出しも頼まれる。

 この屋敷はゴーレムが畑で働いて自給自足なのだが、食べ盛りを三人も迎え入れたことによって供給が追いつかなくなっていた。

 

「これを持ってゆけ」

 ビンチが取り出したのは、ボーリングの玉ほどもある半透明なクリスタル。

「凄い。こんな大きいの初めて」

 イリスが驚く、この結晶には莫大な量のマナが詰まってるそうで、売れば金貨五十枚分は優にあると。


「それで好きなだけ買うが良い。それと、アグレスまで行くのなら、これを王女か国の信用できる者に渡してくれ」

 手紙を渡された。なんだろう、謝罪文かな?

「違うわい! あー、国にとって重要なことじゃ。あとで教えてやるわい」

 大事な手紙を託されるくらいに信用されたようだ、必ずと約束した。


 さて、遂にドラゴンに乗れるのだが、リーザは元の姿に戻る前に服を脱ぎ捨てる。

 指輪だったリングが首輪になっていて、それが光った瞬間にリーザが跳ねた。

 そこには、これでもまだ子供だという立派な赤竜が鎮座していた。

 服を拾って、その広い背中に縄や木の手すりを魔法で付ける、傷つけなくても良いのが魔法の良いとこだな。

 

「お邪魔しますね」

 屈んでくれたリーザの首の後ろに登る。

 三人が手すりを掴むと、軽く吠えてから、翼を広げて一気に浮き上がった。

 羽ばたきすら必要としない、巨大な体と翼に上昇流を受けて軽々と高度をあげる。


 地面は遠ざかるが、背後の大山脈は更に高い、ただ東西に数千キロは伸びる全貌の一部がはっきりと分かった。

 それから水平飛行に移ると、ぐんぐん加速する。

 ただし強風が吹くわけでもなく、寒くもない、魔法でしっかり守られていた。


 村や森や池、地上の物が現れては消え、北から南へ、歩けば十日もかかる道のりを一直線に飛んでゆく。

 太陽が幾らも傾かぬうちに、前方に構造物の積み重なる人の街が見えてきた。

 

 ……どこへ降りるつもりだろう? ルシィがリーザに指示を出した。

 おいやめろと、止める間もなく、ドラゴンはアグレスの真上を突っ切り、南の城門の近くにそびえる王女の城の中庭に舞い降りた。

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