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ルクレツィア・リコットその2


 とんでもない事をしてしまった!

 探索陣から人を引っ張り出すなんて!

 

 それ以前に、人が魔法陣を通れるなんて聞いたことがない。

 そんな事が出来るなら、世の中もっと便利です。


「あのー、大丈夫ですか?」

 返事がない。

 これはまずい、このまま死なれたら、確実に魔術師免許は取り上げになってしまう。

 それどころか、牢屋行き。


 全力で近所のお医者様のとこへ駆け出す。

 ぜーはー、お願いですから、家に来て下さい!


「この方が怪我して倒れてたので……」

 嘘は言ってません、原因も言ってないですけど。


「鼻の頭を、何か堅いもので殴られた、ぶつけたような怪我だねぇ」

 当たりです。

「とりあえず、止血と治療もするかい?」

 して下さい、私が払いますから!

「よし、簡単な治療だったし、まけておくよ。ただこの人、この顔立ちに、黒い髪に濃い肌。南方か、ひょっとしたら、東から来た人かもねぇ」

 思い切り遠くを探索して、珍品を見つけるつもりだったから、そのせいかしら。


 仕方がない、今度はジエットさんの所へ行かないと。

 ジエットさんは、お師匠様と同門の魔導師で、何かと気にかけてくれる、もう一人の師匠といった人で、この街に身寄りの無いわたしにとって、一番頼りになる方だ。


 小言は貰ったが、トラドゥトレと呼ばれる通訳道具もわけて貰えた。

 これで起きたら話が出来る、ただ出費はかなり痛い。

 魔法の素材やマナの購入のツケや、ギルドの会費が心配だなあ。


 魔術師と魔導師が所属するのが、魔法ギルド。

 というより、魔法ギルトが認めたのが魔術師と魔導師と言った方が良い。

 国を跨いで広がる大きな組織で、魔法を使った商売を独占している。


 ただし、それだけでなく、情報の共有や、他のギルドを利用する時の割り引きから、仕事の斡旋に融資まで、幅広く助けてくれるので欠かせない組織だ。

 そうは言っても、今の状況がバレるのはマズイけれど。


 この人、遠くから来たみたいだけど、何処からだろう。

 南と言えば、アストラリス大陸。

 東と言えば、大国のパルティア、その向こうはもう伝説の国。

 起きたら、お話が聞けるかしら?


 んん? あれ……? この人、マナが体に流れてない!

 失礼して胸に手を置くと、生きてる! けど、変わった人だなあ。


 あ、やっと起きた。

 良かった、人殺しにならずにすんだわ。

 落ち着いて、変な印象を与えないようにして

「本当にごめんなさい!」


 

 起きたと思ったら、直ぐに帰ってしまった。

 タカテラサガヤと言っていた、変な名前。

 けど、異国のお話が聞きたかったなあ……わたし、この街から出たのも数えるほどだし。

 魔法陣はまだ残ってる、せっかくだから、消えるまで放っておきましょう。



 その二日後、突然、魔術室でわたしの作った魔法が使われた。

 この家に人が入れば、家にかけた魔法で気付く。

 けれど、マナが無い人なら探知出来ない、きっとあの人だ!

 トラドゥトレを掴んで駆け出した。


 予想は大的中!

 さあ異国のお話を聞かせて下さい!

 この方が来たのは、異国じゃなくて、まったく別の世界でした……


 

 いやいや、いきなり一緒に商売をしようって言われても。

 わたし、貴方のこと、全然知りませんし。

 お話を聞く限り、悪い人には見えないですし、お金儲けが出来れば嬉しいですが……そう言えば、来月はツケが溜まっていたような……


 うーん、ここはジエットさんに会わせてみましょう。

 

 そっちの世界に遊びに、いや見学に来ないかですって!?

 もちろん行きます! 魔術師を志した時から、そんな冒険に憧れてました!

 いやいや、軽々しく乗っては駄目。

 ここはラミア姉さまを見習って、わざと思わせぶりな態度を。

 ほら、強引に誘ってきた、仕方ない行って差し上げますわ。


 なんだこれ!?

 初めての異世界は、想像を超えていた。

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