第4話
「それで話って何?」
彼女を人気のない階段へと連れてきた。
屋上へ繋がっている一番上の段に腰を下ろすと、彼女も隣に座った。
「何から話せばいいか迷っています」
「もしかして俺に惚れちゃった、とか?」
おどけてみるが、隣から反応はない。
彼女の顔を見ると、眉間にしわを寄せて難しそうな顔をしている。
「そういうのとは違います」
「あ、そう」
ちょっと、いや、結構がっかりしたかも。
「ですが……」
彼女がこちらを見た。
「私は、土岐亘に会いに来ました」
「え?」
俺は瞬きを一つして、彼女を見つめた。
「なんで?」
心拍数が上がっていく。
「そう言われましても」
「どこかで会ったことある?」
「いいえ」
「じゃあ俺に一目惚れ……」
「違います」
「じゃあなんで」
「理由、知りたいのですか? どうして?」
俺はふうっと息を吐き出した。
「天翔さん、が何で俺を知っているのか、気になるから」
「メイナ」
「あ?」
「メイナとお呼びください。それに、私はあなたの名前しか知りません」
俺は頭を抱えた。まともに会話もできないのか。
「宇宙人かよ」
ボソッと呟くと、
「違います」
メイナが即座に否定した。
「知ってるよ」
どうも調子が狂う。もう一度ため息をつく。
「あー、でも、少し惜しいかもしれません」
メイナの眉が下がった。
「どういうことだよ。まさか、違う時代の人間だとか言うんじゃないだろうな」
冗談のつもりだった。
「はい」
メイナがはっきりと答えた。