第10話
短めです。セリフメインです。
「テレパシー?」
俺と結里の声がそろう。
「はい」
「ワタルくんには、留くんの声が聞こえたってことなの?」
結里が首を傾げる。
「留の声ではなかったと思います」
「土岐亘の能力は、『弟の思考が見える』ものでしょうね」
「どういうこと?」
「前提として、見ているもの、感じていること、全て思考と捉えます。人は見たいようにしか見えないものだからです」
「はあ」
気の抜けた返事をすると、メイナがちらりと俺を見た。
「まあそれはいいです。とにかく、能力を自覚したからには、対策ができるはずです。今後何かあった場合は、私に報告してください」
「双子ということは関係あるのか?」
「何とも言えません。今私に分かるのは、土岐亘と留さんのつながりに意味があるということだけです」
「意味……」
結里が呟く。
「わたしの能力にも、意味はあるのかしら」
「もちろんです」
メイナが胸を張った。
「意味のない能力なんてありません。必要だから持っているのです」
結里は口をつぐんだままだ。
「私たちは成し遂げなければなりません。土岐亘に会いに来たこと。そこであなたや三浦さん、留さんに出会ったこと。全て繋がっています。私の使命に関わることです。証拠はないけれど、私は確信しています」
「信じるわ。わたし、あなたのこと信じる」
結里が、強い口調で言った。
「正直に言えば、未来から来たとか、能力とか、まだよく分からない。でも、メイナちゃんが嘘をついていないことは分かったわ。……わたしにもあるのよね、使命」
結里がメイナを見る。メイナが頷く。
「使命を果たすために、そして、メイナちゃんが来た意味を見つけられるように、わたし協力するわ」
「土岐亘、あなたも力を貸してくれますね?」
「おう」
力強く言うと、メイナが笑った。




