第8話
区切りの関係で、今回は短めです。
「あなた、誰ですか」
メイナが警戒した声を出す。
「結里先輩!」
声を上げた俺を怪訝そうな顔で見るメイナ。
「ところで、さっき女の子が走っていったのだけど、追いかけなくていいのかしら」
結里は、腕を組んで俺を見た。
俺が走り出そうとすると、腕をぎゅっと掴まれる。
「やめろ」
留が立ち上がって俺を止めていた。
「何すんだよ、俺が行く。行って謝ってくる」
「馬鹿かよ。加害者に迎えに来てもらっても嬉しくないだろ」
留は俺を一瞥すると、早足で教室を出ていった。
「ええと。どういう状態なのかしら?」
混乱した様子で結里が俺を見た。
「土岐亘、一体この人は誰ですか」
メイナがずいっと迫ってくる。
「説明、したい所なんだけど、俺もあまり頭が回ってなくて」
「とりあえず、ここを出ましょうか」
結里が周囲を見渡して、背後のドアを指差した。
気配で何となく分かっていた。俺たちはまた好奇の目にさらされているということ。
無言で頷いて、俯いたまま教室を出た。
「私は天翔メイナです。昨日転校してきました。あなたは?」
廊下を歩きながら結里に問いかけている。
「わたしは三年の覚張結里よ。よろしく」
「よろしくお願いします。そしてなぜ土岐亘のことを知っているのですか?」
「今朝、廊下で会ったのよ。ちなみにカノンちゃんとも会ったわよ」
「たまたまですか?」
「そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるわね」
「どういうことでしょう」
結里の声が聞こえなくなって様子をうかがうと、眉間にしわを寄せて何かを考えていた。
きっと、どうやって説明したらいいか悩んでいるのだろう。
ずっと気になっていたことを口にしてみた。
「結里先輩、『事件の匂い』が分かるってどういうことですか」
それで何かを察したらしい。メイナが息をのんだ。
「もしかして、第六感……?」
独り言のように呟く。
「え、何?」
結里が目を丸くする。
「あの、みなさん」
メイナが立ち止まる。俺と結里が振り返った。
「とりあえずご飯を食べませんか」
メイナのお腹が大きな音を立てた。




