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能力があるのは必然です!  作者: 安積みかん
事件は偶然?
14/42

第6話

短めです。すみません。 

 授業に遅れたことは少し咎められたものの、奏音とのことは特に追求されることはなく、昼休みになった。

 授業が終わり、伸びをしながらあくびをしていると、背後から声が聞こえた。


「土岐亘。一緒にご飯を食べましょう」


 後ろ手に弁当袋を持ったメイナだった。

 俺は、飛び上がって椅子から落ちそうになった。


「メイナか。気配消して近づいてくんなよ……」

「消した覚えはありませんが」


 メイナは不思議そうに首をひねっている。


「ああ、そうだろうな。ところでさ」


 周囲を見渡してみる。

 昼休みに入ったばかりということもあって、俺たちに注目している人はいない。俺は声を落とした。


「お昼って二人で?」

「いえ」


 メイナが教室の出入り口を指差す。


「あの方も一緒です」


 そちらを見ると、奏音が扉に手をかけて、半身でこちらを覗いていた。


「約束したのか?」


 いつの間にそんなこと、と動揺していると、メイナが言った。


「いいえ。これから約束します」


 言い返す間もなく、メイナは奏音の方につかつかと歩み寄り、対峙すると立ち止まった。

 例の通る声で、言い放つ。


「そこのあなた。私と土岐亘と一緒にご飯を食べましょう」


 奏音は大きく瞬きを二回すると、無言のまま固まった。

 クラス中の視線が二人に集まる。


「あ、あたし……?」


 恐る恐るという感じで奏音が答えると、メイナは頷いた。


「はい。私はあなたのことを知りません。ですが、今朝の様子を見ると、土岐亘と深い関係にあるように見えました。土岐亘に会いに来た私としては、いろいろとお聞きしたいことがあります」


 動揺の波が、奏音からクラスメイトへと伝わっていく。


「土岐が奏音様と『深い関係』……?」

「『土岐亘に会いに来た』って言ったよな?」

「亘は否定してたけど、やっぱり付き合ってるの?」

「天翔さんはあいつのどこがいいんだろう」

「三浦さんに嫉妬?」


 このざわめきはあの二人にも聞こえているはずだ。

 メイナはともかく、奏音はどう思っているのだろう。




 しばらくの沈黙の後、奏音が口を開いた。


「分かった。ちょうどよかった。あたしも、わっくんと話がしたいと思ってたんだ。三人でご飯食べよう」


 奏音がこちらを見た。それにつられて、メイナも振り向く。


「さあ、行きましょう」


 メイナが一歩前に踏み出し、俺のいる方向に右手を差し出した。まるで王子様みたいだ。

 奏音を見返すと、力強く頷いている。

 俺は仕方なく弁当箱を取り出すと、クラス中の注目を浴びながら出入り口へと歩き出した。


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