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第10話 衰えた力

11話投稿しようとして気が付いた書いてあった10話(短い)

うん


「……くっ!」

 だいぶ体調も戻り動けるようになってきていると考えていたが、以前と比べると明らかに動きが鈍り力の落ちた身体は早くも悲鳴を上げ始めていた。

 何よりこの状態で槍を操るのはかなり堪える。

「まだだ! エポ、お前は下がっていろ」

 またがっていた白馬から飛び降りると、蔵に槍を括り付け鼻先を自軍の後方へと向ける。愛馬はロアノスの意図を理解したらしく振り返ることなくひとり走り去っていく。

 ロアノスは腰に下げていた剣を抜き放つと敵へ斬りかかる。

「ロアノス団長、未だに敵の勢い衰えません!」

「わかっている! くそ……偵察隊は、まだか」

 彼らが戻れば多少なりとも周囲の状況把握ができる。

 特に相対している敵軍の後方に援軍がいるのかどうかでかなり変わる。そして、他方面に敵部隊がいるかどうかでも。

「はあぁぁぁ!」

 だが、敵もまさか指揮官が最前線に出ているとは思わないだろう。

 アルガデシア王国騎士団も教会騎士団も基本的に指揮官は後方での指揮に徹する。前線に出てくるのはあくまでもその下につく隊長格の騎士だけだ。

(思えば、これがあれ以降で初の戦場か)

 カナンへの対応はメルクシス公が中心に行っているためそちらに出向いたことはなかった。カナンと親友だったという養父をそちら方面へ向かわせるのには抵抗があったが、立地や牽制という意味ではあたりだったといえる。あの後、混乱が収まらぬうちに攻められていればいくら2つの騎士団があるとはいえ対処は困難を極めただろう。衝突も少なく、被害もむしろ魔獣によるもののほうが大きいということであまり心配はしていなかった。

 そこよりもこのアロア高原でのジェエラ帝国とのにらみ合いが気になり、耐え切れず自ら来てみたこの時にコレだ。

 ロアノスはため息を押し殺すとさらに踏み込む。

 一歩も引かぬ様子のジェエラ兵を容赦なく斬り伏せていく。

(こいつらは引く気がないのか?!)

 今まではすぐに引いていったというが、今回は一向に引く様子がない。深くまで引き入れたことにより優勢だと感じている可能性もあるだろうがそれを抜きとしても彼らの勢いはどこかいつもと違う。

 嫌な予感は増すばかりだ。

「ロアノス様ー!」

 聞きなれた声が後方から聞こえてくる。

「ルノスか!」

「報告いたします。西方に別動隊ありとのことです。規模は1個師団程度。城砦へ対抗するためか組み立て式の投石器を装備している模様!」

「……やはりか!」

 やはり目の前の敵軍は囮だったのだ。

 なるべく派手に仕掛け目をひけとでも言われているのだろう。奴らが引かない理由はそういうことだった。

(しかしなぜこの時期に?)

 仕掛けてくるのならカナンの反乱で混乱していたこの数か月の間に仕掛けてくればよかったのだ。

 わざわざ騎士団の体制が整うまで待つ必要はなかった。新月の夜など数度あっただろう。

「作戦変更だ! 狙撃のできるものは全員城砦内へ戻り城壁上に陣取れ! 協会騎士第1部隊は私に続け! 城砦西方へ移動する! その他の部隊は戦闘継続。何としてもここで食い止めろ!」


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