カルムスとスルハの歓迎会
よろしくお願い申し上げます。
第七話 カルムスとスルハの歓迎会
「姉ちゃん、ただいま!お客様は?って!うお!なんだコリャ?」
広間に入って来たカルムスが、鳥居の描かれた壁にあるガラスの扉を見て驚いている、
「おかえり、カルムス!」
広間の奥で新しく備えられた机で端末の使い方を教えもらっていたスィーネスはカルムスを手招きして自分の元に呼ぶ、
「姉ちゃん何コレ?」
カルムスは座り心地良さそうな革の椅子にお座りモニターを見ている、姉に聞く、
「此れは瓶に変わって通神をする端末なの!
異世界の商品も買う事が出来るのよ!」
と自分がウカの式神に教えて貰いながら、神ゾンの服のサイトを見ていた。
「凄えな!なんでもあるの?でお客様は?」
もう帰られたわ、この方達はこの端末を設置して操作を教えて貰っている所よ。」
式神達はカルムスに向かい深く一礼する、
「で姉ちゃんあの壁はどうなってるの?」
カルムスは鳥居の描かれた壁を指差しスィーネスに訊ねる、
「あのガラスの扉の向こうは日出ずる国なの、今日いらっしゃった天界理命様のお社に繋がっているの。其れで今日ね、」
スィーネスは今日あった出来事をカルムスに説明し、明日の夜自分と一緒に食事会に誘われた事を話す、
「ええー、俺達今日から寄り合いなのに!体調不良で断ろうかな」
「界理様にも貴方はいけないと伝えておいたわ、界理様も貴方に宜しくと言われているわ、さっきもいったけど後貴方の力が必要みないなの、あっ其れと、界理様から貴方にお土産があるわ、」
スィーネスは隣にいる式神を見るとふっと消えて他の式神が台車に沢山の箱を積んで運んで来た
「なっ、何これ?」
カルムスは運ばれてきた物を見て驚きながら聞く、
「カルムス様、此方は酒宴セットで御座います、酒宴の前にこのダンボールの上に付いているこの人型の紙にカルムス様の神力を少し入れて頂ければ、式神が酒宴を全て取り仕切ります。」
「えっ!酒宴ってことは、この箱の中全部お酒なの?!」
「いえ、お酒も各種取り揃えてありますが、お摘みやオードブルもご用意してあります、詳しくは、先程の人型の紙にカルムス様の神力をお注ぎ下さい。」
「今、行ってもいいの?」
「はい、構いません、この紙の式は、カルムス様の神力で動きます、戻れと命じればまた、紙に戻りますのでお試し下さい。」
カルムスは人型の紙を手に取り力を注ぐ、するとカルムスの手の平の紙がポンっと爆ぜカルムスの前に見た事の無い衣装の女が片膝を付き頭を垂れ、
「主人様ご指示を!」
と、言っているしかしカルムスはその女の出で立ちに目を見開いて口をパクパクさせている、その女は余りにも煽情的な格好をしていたからだ、例えるなら兎獣人の様な耳の飾り物を頭に付け胸元から上は何も付けて居らず服と言えば胸元からしたの足の付け根まで、身体のラインぴったりの黒光りしている服、足の付け根から足先までは、黒い網の様な物を付けていて、足先にはピカピカの黒の恐ろしく細い踵の靴を履いた!そうスタンダードなバニーガールの姿なのだ、カルムスだけでは無く、スィーネスや副天使長も目が点になっている。見かねたウカの式神が、カルムスの式に伝える。
「主人様に箱の中身の説明を致せ、」
バニー姿の式はカルムスに一礼して話出す。
「此方の箱の中は酒宴に必要な物が一通り入っております、酒宴の席の前に私を呼んで頂ければ、全てご用意させていただきます」
ようやく落ち着いたカルムスは、式に伝える「では、酒宴の前に呼ぶ事にしよう、戻れ!」
式は又ポンっと爆ぜ元の人型の紙に戻る、カルムスは素早く紙を拾いあげ、大事そうに胸元にしまい、スィーネスに告げる、
「じ、じや、姉ちゃん俺出掛ける支度をするから、へ、部屋戻るわ!」
カルムスは明らさまに挙動不審になりながら箱の乗った台車を押しながら部屋に戻ろうとする、そんなカルムスにスィーネスが、
「カルムス、今回の冥府の神の寄り合いカロンでだったよね?」
と、カルムスを呼び止め聞く。
「そ、そうだけど、な、何?」
「何を慌ててるの?お姉ちゃんと、ソルスに宜しくね!」
ソルスは、フィーネスとスィーネスの妹でカルムスの姉でカロンの冥府の神である、
「わ、分かったよ姉ちゃん、じ、じゃあ俺準備して行ってくるから!明後日の夜には戻るってお客様に、宜しく伝えて!」
台車を押しながら急いで部屋に戻るカルムスを見ながら、スィーネスと副天使長は確信している!カルムスが部屋で先程の式を呼び出すであろう事を!
一方界理は自身の居間のアイランド型のキッチンで今夜のスルハの歓迎会の準備をしていた、今はジャージに着替えエプロンをしてお肉をカットしている、
「もう、そろそろあの二人も来る事であろ最初のサラダとスープを用意しておくか」
界理が準備をしていると、居間の扉がノックされ力子の声が聞こえる、
「界理様入ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、入るが良い!あと少しで支度も出来よう。」
「「失礼致します、」」
力子とスルハは同時に応えながら居間に入ってくると、界理がスルハを見て
「スルハ、雰囲気がかわりましたね、とても美しく制服と言うかスーツ姿もとても似合いますね、」
界理に言われたスルハは真っ赤になりながら、
「ありがとうございます」
と、言いはにかんでいる、そんな二人に界理は、
「折角のスーツ姿ですが二人共、今宵の歓迎会は我ら三人身内たけであるから、私のように楽なジャージに着替えて参れ!油が飛んで汚れてしまうぞ、」
「はい、界理様それではすぐに着替え参ります、さあスルハ様!」
と二人は出て行くのを界理は見送り、カウンターテーブルの中に内蔵されている鉄板に火を入れる、程なく二人が一緒に居間に帰っくる、
「「お待たせ致しました界理様」」
「さあ、準備は出来ておる二人共カウンターの椅子に座るが良い!」
界理は二人を椅子に座らせよく冷えたジョッキに入ったビールを、力子とスルハの前に置き自身もビールを片手に持ち、
「さあ、今宵はスルハの歓迎会ではあるが、身内だけであるから、無礼講だ、スルハよ暫く力子と共協力して私を助けておくれ、では乾杯!」
「「乾杯!」」
と二人も応え冷えたビールを飲んむ、スルハは発泡性の酒を飲んだ事が無いようで初めは咽せていたが意外にこのビールが気に入ったみたいであった、
「では、まずお肉の前には、野菜スープと、野菜サラダであろ、」
界理は二人の机の前にスープとサラダを出しスルハにはホークを渡した、力子は直ぐにサラダを完食させ、
「界理様、お野菜食べました!早く肉を焼いて下さい!」
力子は界理に催促する、
「力子よ、待つがよいお肉は沢山用意してある、逃げたりはせぬ!」
と界理はカウンター越しに座る二人の前のテーブルの鉄板部分に油を少し敷く、
先ずは日出ずる国の和牛のタンから焼いていく界理は二人の前に二枚ずつタンを焼き、まずは岩塩とレモンでと二人の前の肉に岩塩ふり、力子とスルハの皿の上に乗せる。
「タンはこの位で良かろう、そこの切ったレモンを絞り早く食べるが良い!」
スルハは力子の見よう見まねでレモンを絞りお肉をホークで刺し口に入れる、
スルハは先ずお肉の柔らかさに驚愕しさらに、美味しさにも驚く、瞬く間に口の中から無くなり、もう一枚のお肉をほうばる、お肉の味を堪能してビールを飲む、最高に美味しい!
「さあ、次は其方のタレで食べてみるが良い」
界理は先程のタンを次々と焼いて行く、スルハは界理が次々と焼いたお肉をタレに漬けて食べる、夢中だ!美味しい
この甘辛いタレ最高!
「界理様、か、カルビ、カルビをお願いします!」
力子が界理に懇願する、
「ふっふっ力子よこれがA5の霜降りカルビである、」
と界理は後ろの冷蔵庫のチルドルームより、厚めにカットした霜降りカルビを出し二人の前で焼き始める、力子は目を見開きカルビに釘付けになる!しかも今にも肉に飛び付く勢いだ!
「この肉ならこれ位で良いであろ、」
界理は二人皿の上にまだ少し赤みの残る肉を置いて行く。
「「美味しいー」」
「「口の中で溶ける!肉なのに!」」
二人は夢中である!
「そなた達まだ行けるか?」
「勿論です、界理様!」
「お願いします!」
「まだモツも有るからな!ペースを考えてな!」
界理は言うが二人は夢中で霜降りカルビに舌鼓をうっていた、力子に至っては自作のお肉の歌を歌いながら食べている。
「さあモツを焼くか、私はビールとモツ焼きが最強だと思うだか?」
「界理様私は幸せです、お肉がこんなに美味しいなんて知りませんでした!」
スルハは目に涙を浮かべ語っている。
「スルハ、まだモツが有りますよ、とても美味しいですよ、其れとこのお酒は、如何ですか?」
界理は酎ハイをスルハに渡す、スルハはモツを食べて酎ハイを飲み、
「これ、最高!」
「私はモツにはビールですね!」
とスルハと力子は言う、二人共満足してくれた様だと界理も自身のお肉を焼きながら、歓迎会を楽しんだ、最後に力子が、甘いもは別腹と自身が用意したケーキを出す、
「力子よ私は、もう食べられないよ」
と界理は言ったが、スルハは、
「力子様私はたべます!!」
そんな二人を見ながら界理は紅茶を二人に用意したのであった。
ありがとうございました。