シロン料理
よろしくお願い申し上げます。
閑話 一 シロン料理
「界理様、お呼びでしょうか、」
「ああ、料理長、手を停めさせて済まない、少し話せるかな?」
「はい、大丈夫です、私の部下は、優秀です、」
「其方も、知っているだろうが、今私は、シロンでお仕事をしている、スィーネス様や、スルハは、日出ずる国の料理は、とても美味しいと、言って下さるが、余りシロンの食べ物に、自信が無いご様子なのだよ、其処で料理長、暫くシロンに、行っては、もらえないか?シロンの下界に降り、シロンの食材や、調味料で、美味しい料理で、スィーネス様に、自信を持って、もらいたい!」
界理が、告げると、ダンディな老紳士は、ニヤリと、笑みを浮かべ、
「興味深いです、お任せ下さい、ひょとすると、日出ずる国の料理より、美味しい料理が出来るかもしれません、ですが、調理器具を一からとなりますと、」
「料理長、機材は、ウカ様に、頼みます、リストを早急に作って下さい、」
「ありがとうございます、早急に提出いたします、その後副料理長に引き継ぎをして、明日の朝から、降りる様に準備いたします、」
「あと、此れを、」
界理は、自分とお揃いの、グレーのローブを、料理長に渡し、
「此れを使って下さい、私と、お揃いですよ、」
「畏れ多い事で、御座います、大切に致します、では失礼致します、」
料理長は、調理場に戻り皆を集め、
「皆聞いてくれ、界理様より、私は明日から
、暫くシロンでお仕事をする様申しつかった、明日のお昼の迄の仕込みは、終わって、いるから、その後の事、副料理長!宜しく頼む、」
「はい、料理長、お任せ下さい、」
次の朝、ローブを纏い、愛用の調理セットを袋に入れ、エントランスで、待っていると、式神が、
「料理長、お待たせ、行きましょう、」
と、シロンの対策本部へ向かう、本部で、副天使長殿に挨拶した後、スィーネス様が、おみえになり、界理様から、事情を説明して頂き、自分の、補佐役として、天使殿を、お二人付けて貰い、その場を後にした、
まず、
「天使殿、私達、日出ずる国の式神は、名を主人に預けていますので、私の事は、料理長と、お呼び下さい、」
天使達は、一礼してから、
「私は、ラス、私はミラ、料理長お見知りおきを」
と、挨拶を交わし、料理長が、
「早速ですが、調理場を見せて頂きたい、宜しいか?」
「はい、此方です料理長、」
料理長が、調理場に行くと予想通り、切る、焼く、煮る、の調理場であった、料理長は、「此れから私達が、下界に降りている間に、うちの同僚達が、調理場を、少々改装させて頂きます、」
と、携帯端末を取り出し、連絡を取り、指示を出す、
「お待たせ致しました、では、まず、市場の様な所に、連れて行って下さい、」
「はい、この時間でしたら、王都リストンの朝市にご案内致します、スィーネス様より、お支払いは、全て此方でお支払いする様、申しつかっております、」
「では、宜しくお願い致します、が、私、このローブですが、天使殿達は、どの様な姿で、降りますか?」
「私達は、町娘の衣装に、着替えて、降ります、」
「私が、ローブで、天使殿達が、町娘では、違和感が、有ります、良ければ、私の幻術で、二人共ローブで魔法遣いの弟子という設定に、しましょう、さあ、ローブの色は、何色がよいですか?」
「では、私はベージュでお願いします、」
「私は白でお願いします、」
「はい、では、行きましょう!」
市場の端に転移した三人は、石畳の道を歩いていく、空気は、日出ずる国の下界の空気に比べ、シロンの空気は、澄んでいて、歩いていると、食材の匂いが鼻をくすぐる、料理長は、
「先ず調味料と、香辛料のお店に行きましょう、」
少し歩くと、独特の鼻をつく香辛料の匂いがして来る、匂いの先には、天上から、ニンニクの様な香りのする、野菜の実の様な物や、見るからに辛そうな、赤い実の干物が吊るしてある、店先には、大きな袋に入った、香辛料が、所狭しと、並んでいる!、料理長が興味深げに吟味してしていると、
「魔法遣いの旦那!、旦那外国の方だね!一つまみずつなら、食べて、構わないから、良く見てっつてくれ!」
「ありがとう、では、」
料理長は、匂いを嗅ぎ、少し口に含み、次々と購入して行く、ふと気付き、
「既に調理場にある、調味料は、教えて下さい、」
と、天使達にお願いする、店主は、
「旦那、ありがとう、少しおまけしておいたよ!」
と、上機嫌で、話す、店を出て、
「次は、油を扱っている店は、有りますか?
」
料理長に聞かれた天使達は、
「此方です」
と、案内する、店に行くと、大きな瓶が、幾つも置いてある店に行き、瓶の中の油の説明を、して貰い、植物油と、動物油、動物油脂を購入する、料理長は、荷物を持ってくれている天使達に、此れをと、日出ずる国の大きな買い物鞄を出す、次は砂糖、次は、塩、と、買い物をして行き、独特な、発酵の匂いに気づいた料理長は、匂いに惹かれ、店にはいると、豆を発酵させた、色々な食材や、調味料が並んでいた、面白い、味噌の様な物、醤油の様な物、日出ずる国のそれらとは、違うが、生産する方法が、似ているのであろう、
此方の豆独特の風味が、良い!お買いあげだ、料理長は、ふと気付く、先程天使殿達に、調理場に、有る食材や、調味料は、言って下さいと、言って置いたが、一向に、其れは有りますと、言う言葉が、聞こえない、不安になり聞いてみると、使った事が無いと、返事が、返って来た、では、今シロンの厨房に残っている食材は?と、聞くと、小麦粉と、芋、豆、と、乳と、蜜です、と答える、乳は、何処で手に入れているのかを、聞くと、乳は、スゥー大陸の放牧民から、分けて貰うそうだ、お肉は、何処で手に入りますか?と、たずねれば、リストンでは、肉は、焼いてある物を、買うのが一般的らしい、生肉を、購入する方法は、畜産業者に、直接頼まないと買えないらしい、料理長は、ミラに、新鮮な乳を手に入れて来て欲しいと、頼み、ラスに生肉の購入出来る所に案内して貰う、転移したので、判らないが、かなり標高の高い所の様だ、そこで、山羊の肉を、分けて貰い、最後に、卵を、購入しようと、して、その大きさに、驚く、子供の頭程の大きさだった、野菜を、忘れた事に、気付き、ミラに、お願いして、神殿に、帰る、界理様達は、本部で、まだ仕事中だったので、挨拶を済まし、調理場に行くと、改装が、終わっており、買って来た調味料や、食材を一度しまい、今日の、献立を考える。と、ミラが、乳と、野菜を持って帰って来た、
「ご苦労様、此れは何の乳ですか?」
「水牛の乳です、後、此れもおまけで、頂きました、」
と、布に包まれたバターを、出す、
「ミラ殿、お手柄です、此れで、今日のデザートは、決まりました!ミラ殿は、デザートに興味が、有るのでしたね、」
「はい、昨日のケーキの様な、お菓子が、作りたいです、」
「では、生クリームの代用品を、まず作りましょう、ラス殿は、今日買った肉を、シロンのお酒で、弱火で、煮て下さい、」
その後も、料理長は、二人に、細かく指示を出し、夕食の山羊のシチューと、デザートの、ソフトクリームもどきが、出来上がり、料理長自身が、美味しさに、驚き、ミラは、味見と言って、何度も、ソフトクリームもどきを口にしていた、界理様、シロンの食材は、面白いですよ!料理長のシロン料理の研究は、つづく。
ありがとうございました。




