3話 はじめてのともだち
痛がるユリウスさんを、心を鬼にして無視を決め込んだ私はなんとか治癒魔法をマスターして、結局疲れてベッドに倒れ込んでしまった。
日差しに気づいて目を覚ますと、ベリルさんが横に座っていて、クスクスと笑いながら私の頭を撫でてきた。ベリルさんの手は柔らかくてとても心地よかった。
「ふふ、おはよう。よく眠っていたな、もう昼前だぞ。余りにも幸せそうに眠るものだか」
「ああ!!嘘おお!はわわわわわごめんなさいごめんなさい!」
げっ!確かにお日様が結構上の方にある!自分でもびっくりして、慌てて飛び起きた。恥ずかしさと情けなさがごちゃ混ぜになって顔が真っ赤なのが自分でもわかる。顔が熱い。
「慌てずとも良い、昨日私がお前に技を教え過ぎたせいだからな。お前は飲み込みが早くて私も楽しかったぞ」
こんな状況でも私を褒めてくれるなんて、相変わらずベリルさんは優しいな。
「あ、そうだ!ユリウスさんはどうしたんですか?」
「昨日の爆発の原因を調査するように私から頼み込んだ。ふむ、そうだな。私と話す時は友……いや、私が今からお前の友となろう。嫌なら嫌で構わんぞ」
えええええええ!!
「い、いいいい、いいいいいいい、いいいい、い、い、いいんででで、すかかかかかかかか?」
私の両手を握ってくるベリルさんに顔がさっきよりも熱くなってくる。そして私、噛みすぎ!この人、いろいろと突然すぎるよー!
「構わんぞ。お前と知り合い此処で語らっている間、妹が出来た様に思った程だからな」
慌てる私を他所に、ベリルさんは慌てることもなく自分のペースで話を進めていく。
流石大地主の娘とでもいうべきか、ベリルさんはものすごく器が大きい、いや、大きすぎる。
「ありがと、ゴザイマス……」
起きてからずーっとドキドキしぱなっしだよ。
自分の頬に両手を宛てがって熱を冷ましていると、ユリウスさんさんが私とベリルさんが居る部屋に入ってきた。
「よ、リリーおはようさん。そんで結果報告だが爆発はマナナの連中の仕業だとよ。怪しい奴をとっ捕まえて剣で脅したら一発で白状しやがった。根性ねえ奴」
結果報告が書かれた紙をユリウスさんから受け取ったベリルさんは、眉を顰めると渋い表情を浮かべて呟いた。
「これは、実際にマナナに行かねばならぬかもしれんな。ユリウス、同行してくれ」
「はいよ」
私はここで待つのかな。
「あの、私もついて行って良いですか?」
恐る恐る聞いてみた。
「お前は……友が傷つくのを恐れているのか?優しいな。だが危険な目に遭わせてはならん、此処で待っていろ」
「……私のワガママなのは解ってます。でも、私もマナナの王様に会って直接話がしたいんです」
譲る気はない。これが私の意志だ。
「ほう、一昨日まで魔物がこええって言ってたお前がそこまで言うんだ、スゲエ奴。よし来い、武器の腕は俺が鍛えてやるし俺がお前を守ってやるよ」
「ユリウス!」
驚くベリルさんをなだめるようにユリウスさんが続ける。
「もし、お前が弱音を吐いたり無理だと思ったらそのまま俺が責任を持って村まで送り届ける。それでもいいか」
強く、頷いた。
「リリー……、出来ればお前を巻き込みたくはなかったが……そこまで決心しているのなら私は止めん」
「ベリルさん!」
ようやくベリルさんが折れた。
そうして、私達はマナナに向かうことになった。




