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2話 夜になったよ

ベリルさんの話をきいたあと、私は彼女のお屋敷に泊まらせてもらう事になった。

とても大きな畑に果樹園まである。ベリルさんのお家は、カトルの街で一番大きな土地を持っていて、そこで戦災孤児や戦争で働くあてを失った人など、色んな人を雇って果樹園や畑の管理をしてもらっている、と教えてもらった。

そう言えばユリウスさんはいつ頃来るんだろう。もう真っ暗で、ベリルさんに迂闊に出歩いてはならんと言われて、此処に居るしかないけど、来てくれるかな。

「ユリウスの事を心配しているのか?なに、奴なら心配はいらん。口は悪いし乱暴な奴だが、約束は果たす男だ。今頃どこかで適当に飯でも食っているだろう」

うう、ベリルさんってば鋭い。

「なんで……」

言いかけた、その瞬間。

街の方で大きな爆発が起こった。

「そこにいろ、私は様子を見てくる!」

部屋に飾ってある、大きな杖を手にしたベリルさんが、大急ぎで部屋から出て行った。

玄関まで追いかけた後、恐る恐る、入り口のドアから街の様子を覗きこむと町並みから大きな火の手が上がっていた。

「リリー様、なりませんぞ。ベリル様のご帰還をお待ちくだされ!」

ヒゲの濃い執事さんが私を窘める。

「ですけど、私、心配で……!」

だって、まだ宿のお礼もできてないよ!それなのに私だけ此処に居る訳にはいかない。

「リリー様、こちらへ!書斎なら隠れるのには最適です。魔導書をお持ちくだされ」

凄く分厚い本が宙に浮いた。そして執事さんが何やら唱えだした。

「ウンディーネよ、恵みの雨で荒れ狂う炎を鎮めよ!」

眩い稲光に慌てて窓の外に行くと、さっきまであんなにいいお天気だったのに街は豪雨に包まれていた。

「魔法……!?」

「左様でございます。ベリル様もわたくしも、魔法を使う事が出来ます」

書斎から色々と分厚い本を取り出しながら、執事さんが私に微笑みかける。

なんていうか、凄く羨ましいな。昨日この街に向かう途中だって私は何もできなかったし。

「ふむ……炎は鎮まりましたが、今夜は油断出来ませんな。またいつこんな事が起こるかも解りませぬ。リリー様、ベリル様が帰って来る……おや、ユリウス様」

此処は3階なのになんで?と思ったら、樹の上にいた。

「リリー、お前魔法も剣もまだ使えねえんだろ?俺が守ってやうおわあああああ!!」

あーあ、樹から落ちちゃった。けなされてる気がしなくもないけど言ってることはカッコイイのに、樹から落ちたら台無しだよ。

「全く、本当にだらしのない奴め。……そうだな、リリー。折角の機会だ、お前に治癒魔法を教えてやろう。そこに実験台がいるしな」

帰ってきて早々情けないユリウスさんの姿を見るなり、ため息をついたベリルさんが私に提案してきた。

「あ、あの、良いんですか?」

「まだ魔法が使えないのなら丁度よい。こちらに来てくれるか?」

「はい」

そうして、私はベリルさんから魔法を習うことになった。

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