管理職の実話を基にしたフィクション
「なんで、そんな風に他の社員に甘いんですか。私ができない社員に合わせて、どれだけ苦労してきたかと思っているんですか。そんな社員に合わせるぐらいなら、こんな会社辞めてやるわ!」
ここまで絶叫されてはおりませんが、大体同じ内容です。
管理職の実話を基にしたフィクションです。
その人、仕事できるんですよ。能力あるんですよ。
ただ他人にも同じ能力を求めがちなところがあって、他人のミスや欠点が許せなくてトラブルを起こしがちな人でした。
とはいえ、私としてはこの人のことが悪い人だとは全く思っておりません。
会社の年数の経過とともに、会社がその方に合わない環境になっていたのかなというところです。
もっとバリバリとした雰囲気の会社であれば、この方はイキイキと働けるような気がしています。
仕事はできる方ですので、退職されるのは会社として痛手ではあるのですが、とはいえ引き留めてストレスを抱えたまま仕事をしていても、仕事に十分に実が入るとも思えません。
また、残ってほしいと引き留めることによって、管理職とその社員の立場が逆転してしまうおそれもあります。その社員の希望を何でも叶えなければいけない雰囲気になる可能性も。凄く悲しい話ではありますが、引き留めずに退職を受け入れるというのが最近の私のやり方です。
「なんで引き留めないんだよ。こんな甘い環境で良いと思っているのかよ。お前が甘いから、ダメな会社になっていくんだぞ! この豚野郎!」
さすがに、ここまでの言われ方はされておりませんが、とはいえ引き留めずにそのまま退職を受け入れる意思を示した時には似たような感じのことは言われました。
そこは心を豚にして、何とか耐えるのです。それが管理職。
ですが、なかなかキツイ。なんせ言っていた人の語気にはゴリラのような凄みがありましたから。
目を覚ますと、目の前には退職意向を示した社員の面影があるゴリラが、椅子に座って箸を持っていた。
「起きたんですねウホ、豚さんウホ。」
ゴリラから豚と呼ばれる私。どういうことだと頭に????がたくさん浮かんでいた。
「鏡を見てくださいウホ。」
そうして見せられた鏡には、ゴリラの言う通り、豚がうつっていた。
私が体を動かすと、鏡の中の豚も動いている。
私自身が豚になっていることに気付いた。
なお二足歩行ではなく、四足歩行の普通の豚である。
「これから豚さんには、美味しい美味しい焼豚になってもらいますウホ。会社での私への仕打ち、許しませんウホ。ネットとかで検索したんですウホ。引き留められない社員の特徴っていうのをウホ。そしたら、能力がない&いなくなっても困らないなどなど・・・・ウホ。能力がないのは管理職であるあなたを筆頭に、他の多くの社員達ウホ!私は、誰よりも能力があるのに、ヒドイウホ!!だから私に食べられてくださいウホ。大丈夫ですウホ、食べられても私の体の中の栄養分として一生、生きていけるように調整しますウホ。ウンチとか、おしっことかで排泄しないようにするウホ、ゴリラの体にできるだけ蓄えますので安心してくださいウホ。」
そうして私の近くには1匹の豚が丸々おさまる、信じられない大きさの焼肉プレートがセットされた。
私は手足を縛られて動けない状態で、その焼肉プレートに乗せられたため必死に伝える。
「引き留めなかったのは能力がなかったからじゃなくてブヒ、退職意向を示した社員を引き留めてしまうとブヒ、どんな場合でも管理職と社員の力関係が逆転してしまうおそれがあって会社組織として良くないからなんだブヒ。」
「そんな話が通用するとでも思っているウホ。本当、浅はかな豚ウホね。」
そうして焼肉プレートの元栓が開けられ、火がつけられたようだ。
その瞬間
「ブヒィィィィィィィィィィィ・・・・・・・・・・・・・」
豚はあっという間に気を失っていた。
それまで生きていた豚はあっという間に焼豚となり、ゴリラに咀嚼されて分解されて胃の中に入っていった。
そんな悪夢から目を覚ました私。
ゴリラみたいに怒っていた社員からこんな扱い受けたりするのは嫌だな。
じゃあ、退職を引き留める?
イヤイヤ、ここは引き留めてはいけない。
さっき見ていた夢のように豚になって殺されるというのが分かっているのであれば、退職を引き留めるかもしれないが、現実世界は一時期の大きなストレスぐらいで終わる。
できる社員の退職意向は組織運営として正直悲しいが、ここは心を豚にして、退職を引き留めないのさ。
悲しいけど、それが管理職のあるべき姿ブヒヒ
ここ最近、本当に気軽に退職が多いブヒ
5年以上前はかなり落ち着いていたのに、今は全然違うブヒ
本当に売り手市場なんだなってのが分かるブヒ
さあて、また採用活動も頑張るブヒ
豚みたいな人に来てほしいブヒ




