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G線  作者: 朋川禾弥
中学生編
10/43

第3話-進級

「ぐわーーッ」


幼馴染の女の子、志堂珠姫に投げ飛ばされ宙を舞い。


姉の綾香に竹刀で叩きのめされる。


そんな毎日が続いていた。




そんな弟、櫻井理人に向かって綾香は竹刀を下ろし心配そうに言った。



「もう、中々強くならないわねぇ」


「いや、強くはなっているぞ

綾香に珠姫、お前らも強くなってるんだ」



バルドーニの教育係、クロウの指摘に綾香は嬉しそうに納得した。



「あーそっかなるほどね~」


「くっそー」



コイツらまだ強くなるのかと、文句を言いたい。


自分だって相当頑張ったはずだ。




「それに、昔の理人なら最初のパンチをかわさずに顔面で受け止めて一発でアウトだった。」


「・・・・そうですね」



珠姫に冷静に言われて更に惨めになった。








肉体訓練の後は銃の練習。

家の地下にあるトレーニングルームの画面に向かって撃つ。



「理人、脳天を直撃させれば即死させることが出来るわ」


三番目の姉麗華にアドバイスされる。



今まで『的を射る』という考え方で撃っていたが

まだ『人を殺す』という目的で撃つ想定をしたことがなかった。


というかしたくない。




「結構お上手っすねー」


上杉も意外そうに褒めてくれた。


「当たり前だ、坊ちゃんは俺と一緒に練習していたんだからな」


そう、射撃だけは小さい頃からラルに教わってずっと練習していた。



「いくら上手く当てられるからといって、先に撃たれては意味がない。

重要なのは先に引金を引くことだ。

躊躇していると死ぬことになるぞ。」


またクロウに諭される。


(先に引金かぁ・・・そんな日が来なければいいな・・・)











理人達は中学三年生になった。




クロウと珠姫と同じクラスなのも仕組まれていると思う。


なんせ三島とマイケルとジョージも一緒なのだから。


コレだからマフィアは(略)





昨日始業式を向かえ、気になっていたのは一つ前の席。


というのも昨日は休んでいたらしく席がぽっかりと開いていたのだ。



そこに今日は学校に来ていた席の主が座っている。


赤みかかったサラサラの茶髪にすらりとし体躯の美少女だった。


とても目立ちそうな気がするが校内で見たことがなかった。






「芹沢どうする?挨拶しておくか?」


先生が名前を呼んだ生徒。

"芹沢"それが前の女子の名前らしい。


(そうか転校生か)


知らなかった訳だ。




「えっ、しなきゃ駄目ですか先生??どうしよう緊張しちゃうなぁ~」



皆に注目され、少し照れた様子だが立ち上がって自己紹介を始めた。



「芹沢カレンです。

趣味は読書とピアノで、最近の目標は料理をレシピを増やすことです。

よろしくお願いします。」




嗚呼、なんて普通そうな子なんだ。可愛くって普通って素晴らしい。

むしろ普通が素晴らしい。


休み時間、当然のごとく彼女はクラスの人気者になっていた。


芹沢カレンを中心に輪が出来ている。


そして一人の女子が俺を指差す。


「そこにいる櫻井君は番長なんだよ」


「ばんちょう?」


「といっても喧嘩とかしないんだよ」


「優しい番長なんだよねー」







「呼んでるぞ番長」


クロウに呼ばれる。芹沢の席は目の前。嫌でも聞こえてるんだ。話を振るな。



「嗚呼・・・三年になっても俺は番長って言われるのかぁ」


「むしろ三年になったから今こそが真の番長だな」


「じゃあお前は真の魔王だよ!

つかなんだよ真の番長って!!」






昼休みになり、クロウと珠姫と昼食を取るため席に集まっていると芹沢カレンが声をかけて来た。


「番長さーん、一緒にお昼食べていいかなぁ?」


「ば、番長は辞めてもらっていいかな?理人でいいよ」


「じゃあ理人君だね、私はカレンでいいよ

宜しくね、理人君とクロウ君と珠姫ちゃん。」



もう名前を覚えたのか。

そして"珠姫ちゃん"という言葉に珠姫がピクンと密かに反応した。



もしかしたら珠姫に同級生の女子の友達が出来そうだ。

彼女なら普通の交友関係を築いてくれそうだ。


と、つい親のような事を思ってしまった。




「珠姫ちゃん、早速お願いなんだけど

ギューってしてもいいかな??」



(何だって!?)



「・・・・いいゾ」



(いいのか!?)



ハラハラしながら見守る。

女子同士ってこうなのか?

女子じゃないから分からん!



「可愛いよぉ、もって帰りたーい!」



なんだか俺とクロウ、珠姫とカレンの間に見えない境界線が張られた気分になった。

黙って見守ることしか今の俺には出来ない。


そう思ってる矢先、この様子を見ていたクラスの女子達が近づいてきた。



「あ・・・あのぉ

私達もナデナデしていいかな?」



(何ですと!!?)





女の子ってやっぱこういうもんなのか。


珠姫が複数の女子に囲まれて身動きとれず、顔だけ少し赤らめている。


ずっとクラスで浮いた存在だった珠姫がクラスに溶け込んでいる。


三年になった途端いい兆しではないか。


その原因を作った芹沢カレンに理人は好印象を抱いていた。




すると隅に固まっていたオタク連中の会話が耳に入って来た。



「くそぉ女子はいいなぁ」


「志堂さんならきっと猫耳とか似合うであります!」


「メイドさんも捨てがたいんだな」


「小生は魔法少女もアリだと思いますぞ」



魔法少女じゃなくてマフィアです。



いかん、聞かなかったことにしよう。

てかコイツら珠姫をそんな風に見てたのか・・・。





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