第8話 魔導馬車とレオン
ーーーその夜。
馬車のダイニングスペースで簡単な夕食を囲む。
「うまいな」
「魔導コンロ優秀なの」
「……お前、本当に商人か?」
「うん。成り上がる予定」
レオンは静かに言った。
「俺は、役に立てるか?」
私は即答する。
「もう十分役に立ってる」
そして付け加えた。
「でも将来は、隊長ね」
「隊長?」
「魔導馬車隊の護衛隊長」
彼は一瞬驚き、そして小さく笑った。
「……大きく出たな」
「そういえば、さっき俺の部屋を拡張した制御盤のプレートってなんだ!」
「本来は制御盤は、普段は御者席にあるけどあれは外せないの…
でも、持ち運びできるプレートに切り替える事が出来る。
部屋の中で拡張したり何かしらカスタムしたい場合は、わざわざ御者席に行かなくてもこのプレートがあれば可能にあるわ」
私は胸元から小さな魔導プレートを取り出した。
「このプレートは私専用の室内拡張用の端末みたいな物ね」
レオンの視線が鋭くなる。
「……奪われれば厄介だな」
「まぁ、私以外使えないから他の人からすればガラクタだけどね…
でも紛失したり奪われたりしたら困るわ…
だから、あなたが守るの」
「わかった。俺に任せろ…」
こうして2人の夜は更けていく…
小さな村から始まった、魔導馬車一台。
今は——
商人カスミと、元傭兵レオンの
二人旅…
だけど、この出会いが…やがて王都最大の魔導馬車商会を作る第一歩になることを。
夜の街道を、魔導馬車は静かに走る。
その中で、私たちの物語も動き出していた。




