第4話 移動する私の城
初仕事を終え、夕焼けの街道を走りながら、私はふと思った。
「……私、これからずっと馬車生活になるんだよね?」
カイロ村には私を待ってる肉親はもう居ない……
既に両親は亡くなり、孤児として両親が唯一残してくれていたボロ屋で生活していた。
今更あのボロ屋に戻りたくはないし…
移住空間として馬車で寝起きしながら仕事をすれば一石二鳥だ!
何とか寝るぐらいなら何とかなるだろうし…
宿代もバカにならない
安全面も気になるし…なにより、私は前世日本人。シャワーもベッドもない生活は……正直きついんだよな…
なら——
「カスタムとか出来たりしないかな?」
私は御者席から魔導制御盤に手を置き、静かに魔力を流した。
すると、視界の端に半透明の文字が浮かび上がった
《内部空間拡張:強化》
《居住機能追加》
《生活設備ユニット生成》
車体が淡く輝く。
魔法陣が幾重にも重なり、内部空間がぐにゃりと歪んだ。
ーーー次の瞬間。
馬車の中は——まるで高級宿泊施設の一室になっていた。
ふかふかの大きなベッド。
白いシーツ。羽毛のように軽い掛け布団。
壁際には小さなキッチンカウンター。
魔導コンロに、冷却保存箱(ほぼ冷蔵庫)。
水生成魔石付きのシンク。
奥には個室トイレ。
さらに——
「……お風呂まであるんだけど!?」
小さいながらも、しっかり湯を張れる浴槽。
魔力を流すと、温度調整までできる。
「最高かよ……」
私はベッドに飛び込んだ。
ふわっ。
え、なにこれ、前世の自宅より快適なんだけど。
しかも外観は相変わらず、ただの小型馬車。
外からは絶対にわからない。
つまり——
移動式・完全防犯・高級ホテル。
「これ、もう勝ち確じゃない?」




