第2話 初めての商業ギルド登録
光の中から現れたのは……
ごく普通の、小型の木製馬車。
「……うわぁ!ヤバっ!ほんとに馬車だ」
だけど、馬が居ない…
これは、普通の馬車じゃない。
馬の姿は見えないが、御者席に腰を下ろし、手綱の代わりの魔導制御盤へ指を置いた。
魔力を流す。
すると——
馬のいない馬車が、静かに動き出す。
「……やっぱり、最高」
ってか私、…魔力とかあるの?
知らず知らずの内に魔力を使っていた。
特に目眩も起きず、まだまだ体の中に魔力が有り余ってる感じがする。
「それにしても、何これ?
めちゃくちゃ軽いんだけど!」
どういう構造なんだろう……
すると、勝手に説明文が頭の中に浮かんできた。
魔導制御盤から車輪内部の魔導炉に魔法が流れるみたいだな…
試しに村の外れまで走らせてみる。
ガタガタ道なのに、揺れが少ない。
魔力を込めると速度が上がる。
しかも——
「内部空間、拡張」
中に入って念じると、内装が広がった。
外は二人乗りサイズなのに、中は四人は余裕で座れる。
「……やばくない?」
これは単なる馬車じゃない。
“商売道具”だ。
◆ ◆ ◆
ーーー翌日。
私は村長の紹介状を手に、隣町へ向かった。
目的は一つ。
商業ギルド登録。
石造りの建物の前で深呼吸する。
看板には『商業ギルド・エルバ支部』の文字。
中に入ると、帳簿を広げた受付嬢が顔を上げた。
「ご用件は?」
「商人登録をお願いします」
自分でも驚くくらい、声が落ち着いていた。
簡単な身分確認と適性検査。
そして——
「問題ありません。本日よりあなたは登録商人です」
木製のギルドカードを受け取る。
カスミ。年齢十六。所属:カイロ村。
商人ランクF。
「最初のお仕事はどうされますか?」
私は迷わず答えた。
「運搬依頼を見せてください」
掲示板には、さまざまな依頼が貼られている。
・小麦三十袋を隣村へ
・布地の納品
・薬草の定期配送
その中で目を引いたのは——
《野菜と保存肉の定期輸送 エルバ町→王都近郊》
距離は長いが、報酬は安定。
そして何より——
「運搬時間短縮歓迎」
私は小さく笑った。
「これ、いただきます」




