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同窓会に行ったら異世界に召喚された  作者: 神谷洸希
ビームを放てるようになるまで
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 さて、ドラゴンの事情聴取といくか。



 まぁ情報把握で全部分かってるんだけどな。



「私はギルドの近くで人間の姿になった。そしたら、それを見ていた奴らがいてな?ナイフを舌で舐めながら脅迫してきて、痛くないかなって思っていたんだ」



 あ、うむ。なんか話が脱線している気がする。一応見ていた奴らを情報把握で検索すると、前会ったチンピラ1と2だった。……よく見るな。有名人か?


 つうかナイフを舌で舐めるって、それで怪我するリスクを踏み倒せるほどあいつら頭おかしかったか?



「そのナイフをよく見たらな、作りものだったんだ!」


「」



 何も言えなくなったじゃないか!くだらなすぎる。


 一応情報把握で確認するけどな。

 どうやら引っ込む形のマジックナイフっぽい。



「で?」


「それに気を取られているうちに、私を助けようとした人が出てきたんだ」



 何も話が進んでないぞ。俺の目が自然と鋭くなる。



「あ、ああ。それでな、その私を助けようとした人って言うのが元主神だったんだ」


「……ほう?」



 元主神というと、妹の想い人だろうか。


 ふむ。ほぉ。


 すごくどうでもいい。どうしよう。


 ここはやっぱり兄としては妹は嫁に出さん!とか言いたいよな。


 しかし俺にとって可愛いわけでもない妹に対しそこまでの熱量は無い。


 とりあえず保留。



「それで、どうしてこの家に帰ってきたんだ?お父さんは怒らないから言ってごらん?」


「怒らないから言ってごらん?、ほど胡散臭いものもないと思うぞ、那奈様!」


「そうだな」



 しかもお前の父親ではないしな。



「わ、私は言わないからな!!」



 ふむ。お前がそう言うのならばこちらにも考えがある。


 例えばそうだなー。



「知っているか?今この世界のゴブリンはそこまで悪い魔物じゃないんだ」


「……そうなのか?」


「はぁ?」



 まだ據は怒っているな。

 まあ聞けよ。



「この世界のゴブリンは弱い。いや、人類が強すぎるのか?まあとにかくゴブリンはこのままだとオークに全滅させられる儚い種族だ。それならペットとして飼ってくれる人間の味方についたほうがいいじゃないか、とゴブリンも思ったらしくてな。そこまで強くないし魔王に操られても、倒せるだろうって今じゃ人気のペットだ」



 この世界の人間はゲテモノ好きだからな。

 屋台じゃ、カラーゴブリンが子供に大人気らしいし。



「そ、それがいったいなんなんだ?」


「この時代の人間ってなんだかんだ言ってちょっと価値観がおかしいからさ、拷問道具とか発達しているらしいんだ」


「あ、なるほど。それは楽しみ。ねぇそれってどこに売ってるの?」


「あぁ、それはな……」



 良かった。據の怒りは収まったみたいだ。……本当に良かったか?



「よし、ドラゴン、だったか?今のうちに逃げるぞ」


「い、いいいいいや、そんなことしたらさらに恐ろしいことをしてくるだろ?那奈様は」


「仮にもオレの友達に対してひでぇな」



 ■■はドラゴンを一緒に逃亡しようと提案したが、ドラゴンのあまりの動揺ぶりに困惑したような笑みを浮かべた。

 俺より據の方が怖くないか?確定している未来だぞ?俺は拷問とかされたくないぞ。



「あ、那奈に気づかれた!おい、オレは逃げる」


「うわ、ちょっと待て私も逃げる」



 いや、だから何故転移魔法を使わない。

 なんか転移魔法が使えない呪いでもかかってんのかな。



「ドラゴンは逃がさんぞ?俺と語り合うだけじゃないか」


「お前は、見捨てないよな?」


「すまん。あいにくオレはそんないい奴じゃないんだわ」


「うわああああああぁあぁあああああ」



 よし、ドラゴンは寝室に連行だ。




 ◇◇◇




「おはよう」


「うぐっ、ぐすっ。ひどいぞ、那奈様。トイレに行かせてくれたってよかったじゃないか」



 誤解を招くような言い方はやめろ。会話が進まないのを耐えながら、事情を聞いてただけだ。

 あと別にお前漏らしてないだろ。トイレには三十年行ってなくても平気だったんだよな?


 じゃあこれくらい問題ない。


 俺はどこぞやの脳筋と違ってデリカシーがあるのだ。



「待てぃ。何故オレのほうを見る」


「はぁ?お前のほうなんて那奈様が見るわけないだろう」



 ドラゴンは未だ拘束されていた時のボロきれを纏ったままだ。その格好でそんな騎士っぽいこと言われると大変ミスマッチだな。

 しかし本体のただならぬ気品みたいなもののせいで、意外と様になっているのだった。

 まあそれでも俺は笑ってやるけど。


 ふっ、くくく。



「ひっでぇ!」


「あの時助けなかったお前の方が酷い」


「そのことに関しては全く後悔してねぇ」


「このひとでなし!!!」



 あーあ。地雷踏みやがったこいつ。


 據のところに行くか。背を向けて據の部屋に転移した。



 ……。あ、ドラゴン死んだ。




「ああ、キルティング。死んでしまうとは情けない」



 この神父のセリフ一回くらいは言ってみたかったんだよな。



「へ?キルティング?」



 據が思わずと言った様子で困惑の声を上げる。


「ドラゴンのことだ」


「いや、それくらい文面からわかるけど、キルティング?それって世界に災厄をもたらし、勇者一行の手によって封印されたっていうドラゴンと同じ名前なんだけど」



 だってそのドラゴンだしな。

 キルティングって。


 ちなみにその噂を広めたのは俺だ。


 俺を騙しやがったあいつを罠にはめて利用したのも俺だ。


 それに従わなくちゃいけないドラゴンは可哀想なやつだよな。



「じゃ、ドラゴンのほうに帰る」


「行ってらー」



 はい転移。


 さて、■■をどうしたものか。

 一応今はドラゴンの傍にはいないようだが。



 とりあえず、学生鞄から、薬をとりだす。


 それをキルティングにかける。


 ふむ、棺がないが致し方ないか。だって、鞄に入らないからな。



 ではもう一回。



「ああ、キルティング。死んでしまうとは情けない」


「だったらもう少し速く助けてくれ」


「復活にかかった手数料をくれ」



 俺はテンプレ通りに事を進められて大変機嫌がいい。



「那奈様お金にはあまり興味なかったよな!?」


「テンプレを無視するとは……いくらお前でも許さない」


「さりげなく、神父っぽい声色なのが腹立つ。だが、金を取るのはテンプレだったか?」


「知らん」



 そう言うと、ドラゴンの顔が驚愕に染まった。

 っていやなぜだ。



「……那奈様には情報把握があるだろう?」


「面倒くさい」


「人の余計な情報は調べるのにか?私には那奈様の面倒くさいと感じる境目が分からん」


「だってお前は俺じゃないしな」


「那奈様の屁理屈だな」



 うむ。


 で、■■はどこに行ったんだ?









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