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同窓会に行ったら異世界に召喚された  作者: 神谷洸希
ビームを放てるようになるまで
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 さて、帰るか。



「僕は許さないからね」


「何を?」


「なんであんな魔法使ったんだ、ってことだよ。僕の腕だけなんて見たら皆不快になるじゃん」



 怒ってるのってそこなのか?なんか……俺の考えていたことと違う。


 まあ、情報把握で全力を出さない限り、人の心なんて俺に分かるはずがないのだがな。



「……それについては幸運の男のおかげでそんなことがあるとは思えんし、あったとしても俺の友達?に協力してもらい、世界の情報を改竄しておく予定だった」


「へぇ。そうだったんだ」


「なあ據。自分の腕が離れることに関してはあまり怒っていなかったことを考えると、もしや自分の腕を元通りにくっつけられるのか?」



 できたらかなり凄い。だって自分の腕をくっつけるのってかなり難しい。


 他人のなら、その人の腕が動いているところを想像すればいいのだが、自分の腕というのはこれがなかなか出来ない。



「あれ?腕をくっつけるくらい簡単だよね?」


「簡単ではないがな。しかし、俺が言っているのは“自分の”の部分だ」


「前に、僕は僕自身の脚をくっつけることができたし、きっと大丈夫だったはずだよ」



 そりゃすごいな。そして脚が離れるようなことがあったらしいとは、いったい何があったんだろうな。


 腕より脚のほうがくっつけるのは難しいらしいと聞いたことがある。何故かは分からない。調べるのが面倒だ。別に俺使わないし。



「ふむ。なんというか興味深いな」



 後でアリス様に報告しておこう。

 俺は自分で調べることはしないが、アリス様は興味を持つだろう。


 本人も自分で編成した世界の仕組みが分かっていないと言っていた。

 寝起きとは恐ろしいものだな。



「どういうことかな?」


「アリス様が喜びそうだなものだと思ってな」


「そっか」



 む?久しぶりにその思考放棄した返事を聞いた気がするな。



「納得したんなら、転移よろしく」


「はぁ。ま、いいよ。うん分かったよ。《テレポート》」



 こいつ、■■を置いていきやがった。

 言わなかった俺が悪いのかもしれないけどな。

 據のことだからわざとなような気もする……。



「はろー、ドラゴン」


「そう言わずに、助けてくれないか?」


「……はろー、吸血鬼の眷属よ」


「ああ、一日ぶりだね」


「那奈様!」



 だからなんで転移魔法使わないんだよ。


 その鎖は別に魔法を阻害するものではないだろう。

 ただの凄く丈夫なだけの鎖。



「この鎖、上級魔法使っても折れなかったんだぞ……」



 何だこいつ。やはり馬鹿なのか?

 馬鹿なんだろうな。

 そうじゃなかったら、なんで転移魔法を使わないんだ。



「あ、そうだ!今も寝ているだろうアホを回収してくるって誓ったらその拘束を解いてやろうじゃないか」



 そういえば、こいつ前回どうやって拘束を解いたんだろうな。放置してたらいつの間にか自由になっていた。



「頼む!」



 うむ、やはりこいつは馬鹿だな。



「ということでよろしく、吸血鬼の眷属」


「いいよ。というかその言葉を待ってた」



 ドラゴンは據の手により解放された。

 うぇーい。やったぜ。



「な!?」


「そんなもんだろう」



 俺の知り合いだって分かってるのに、解放しないほど薄情なやつではない。多分。……そんなに付き合い長くないし。

 婆さんもふざけているだろうし。


 解放して欲しいと婆さんに直接言えば解放されたんじゃないか。

 なんのために猿轡をされていない状況になっていたと思っているんだ。



「そういえば前回はどうやって抜け出していたんだ?」


「人間の姿になろうとしたら、解けた」



 それを今回も使えばいいのに。



「やっぱお前馬鹿だろ」


「ひどい!だが、否定も出来ない……」



 そうだろうな。

 自覚してもらわないと困る。自覚していない馬鹿は真の馬鹿だからな。


 例えば■■とか。



「ほら、拘束解けたし、あのアホを速く回収してこい」


「ひ、ひどすぎる。那奈様は鬼畜だ。いやでもそういうところも那奈様の魅力なのかもしれない」



 なんという世迷い言。


 俺の父親が言われていたことと、同じことを俺は言われているわけだ。

 なんか悲しいな。



「とりあえず、はよ行ってこい」


「はい」



 これで大丈夫のはずだ。



「那奈くん、芦野くんを置いていってたこと気付いてたんだ」


「據はあのアホの名前覚えてないのな」


「い、いや?そ、そんなことはないからね!」


「あるだろ」



 芦野くん。芦野くんねえ?據も結構ひどいな。しかし、そうなるように仕組んだのは俺だけどな。


 まず、據はこの世界に十年以上いた後に地球に帰ってきた。

 もちろんこの時点で、クラスメイトの名前は全て忘れている。当然そのままでは不便なので覚えなくてはいけない人の名前だけは覚えた。いつも話しかけてくる人とか。


 ■■はいつも寝ているうえに、幸運のおかげでそこまで有名ではなかったので覚える必要はない。

 で、そうこうしているうちに、卒業式というわけだ。


 ■■の名前を覚えてなくて当然だろう。

 そして俺も■■の本名を学校では1回も呼んでいない。



「なんかすまんな」


「なんに対してだよ!?」


「さぁ?」



 教えてなるものか。



「俺がお前の部下とか言う人に解剖されそうになった時のことか!?」


「違う」


「俺の目が焼けたときのことか!!?」


「違う」


「俺が世界樹に放り込まれたときのことか!!!?」


「違う」



 それ全部お前の自業自得だから。全てお前のやってみたかったことランキングに入っていただろ?


 だから俺はあまり関係ないぞ。



 最初のやつは、宇宙人の解剖を見たい、だったか。

 ─────宇宙人も異世界人も似たようなものだ。

 まあ本人も解剖されそうになってんのはついでみたいなものだろう。


 次は、某空飛ぶ城に出てくる悪役のかの名台詞を言ってみたい、だった。

 これは本当に俺は関与していないが、■■は俺のせいだと思っているらしい。解せない。


 最後のは、確か迷宮に行ってみたいなー、とか言ってただろ。だから連れて行ってやったんだ。


 俺は大したことしてないし、結局■■の豪運に起因するものだろう。



「……那奈くん。何してんのさ」


「俺は何もしていないぞ」




 アリス様以外の件は俺、基本関わっていないから。









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