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同窓会に行ったら異世界に召喚された  作者: 神谷洸希
ビームを放てるようになるまで
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「依頼達成になりますか?」


「なりますよ。Cランク昇格おめでとうございます。しかし、ここから上がるのが難しいので頑張って下さい。報酬はギルドカードを提出すれば、いつでも受け取れますよ。今いりますか?」


「いらない」



 宿の近くにあるギルドに来ていた。受付は爽やかそうなお兄さんだ。


 ちなみに報酬はもちろんのこと、冒険者ギルドと関係のない手持ちのお金でも預けることができるらしい。


 便利だな。この仕組みの作成者はディミニッシュ・グレイか。また出たな、この名前。どうやらギルドカードはほとんどその男が作ったらしい。


 ディミニッシュ・グレイはあのギルド長……ロキを兄に持つみたいだしな。



「じゃあ帰るから」


「惜しいことしましたね。あと少しすれば、ウチのギルドの看板の可愛い受付嬢が来ますが」



 ん!?え、もしや三時間ってそういうことだったのか!?



「おい、那奈。なんでこっちを睨んでくるんだ」


「お前すごいなと改めて思っていただけだ」


「どういうことだよ」


「帰るか。三時間後に」


「転移魔法使う気ならやめろよ。マジで」


「多分お前がいるから大丈夫だ。詠唱簡略化《転移魔法》」


「詠唱簡略化ってやばいだろ!」


「あ、帰ってこれた」


「えっ」



 やはり■■はすごいということだな。


 詠唱簡略化は術者の集中力が非常に重要になってくる。俺には集中力は無いも同然なので、あまり使ったことはないが。



「據よ、そろそろ起きろ。起きないならお前に現実を知らしめてやろう」


「……何それ?」


「あ、據。起きたんだな」


「だからそれってどういうことなのかな!?」


「起きたんなら知る必要ないだろ」


「だったら、狸寝入りでもすれば良かったよ!」


「俺に嘘は通用しないんだなこれが」



 ごめんな?くくっ。



「死ね」


「彼の者の攻撃から我を防護せよ《防護魔法》」


「二人とも躊躇なくなってきたな」


「據は最初から躊躇なかっただろ」


「そうだな」


「というかその魔法何?全然解けないんだけど」


「ああ、これはハッキングでもしないと解けないぞ」


「那奈って空間魔法が異常に得意だよな。転移魔法を除いて」



 そうか?俺は空間魔法と時間魔法しか使えないからよく分からん。転移魔法は時間魔法と空間魔法の併用が必要になるから、失敗するけど。



「空間魔法に対応できるのは、時間魔法だったけ?《キャンセル》」


「しかし効かなかった」


「は?」


「もう二人ともそれくらいにしときなよ《キャンセル》《解除》」



 俺の防護魔法と攻撃しようとしていた據の魔法が■■によって解除された。



「……魔法2回か。倒れるぞお前」


「もう倒れてるよ」



 おおう。何がしたかったんだお前。


 ■■は魔法の素質がほとんどないため1回の魔力消費量がとても多い。ということで、倒れて寝ている■■の頬をぺちぺちと叩く。



「ハッキングしないと解けないんじゃなかったけ?」


「こいつは存在自体がバグのようなものだからな」



 うむ。条件によってはアリス様を超えるから、バグどころでもないかもしれんな。



「まあ、こいつに勝とうとするほうが無理だ」


「寝てるのに?」


「寝てても」



 前回據が起こそうとしたときも、魔法当たらなかっただろ?



「そういえば、現実って何?」


「お前新たな二つ名ができてる」


「なっ」


「破壊神だったかな?」


「」



 知らん。そう、俺は何も見ていない。

 今據の方を見たら俺は終わる気がする。うむ、知らないぞ俺は。



「そう、俺は何も見ていないんだ。例えギルド長が面白半分で噂を流して、二つ名を作っているところなんて見ていない」


「《サーチ》」


「おい、目が笑ってないのに笑うな。怖い」


「那奈くんが言わないでくれるかな?」


「俺は目が死んでるだけだから」


「じゃ、行ってくるね。《テレポート》」




 ◻︎◻︎◻︎




 はあ、暇だ。



「なあ、ご主人ー、入れてほしいんやけど」


「はぁ、暇だ」


「のーい、ご主人ー。この結界解いてくれへん?」


「いろいろ混ぜてミキサーにかけたようなエセ関西弁、火の竜だったかー」


「ご主人とウチの仲やろ、その反応ひどいわー」


「エセ関西弁って腹立つよな」



 扉の前にいる女は水の龍という伝説級レベルのモンスターだ。声だけ聞こえる。なんでここにいるのかは知りたくもない。めんどくさい女だった気がする。というか、龍系はほとんど全員面倒くさい。



「ご主人が言うとマジでシャレにならへんわ」


「いや俺は無闇に殺傷はしない」


「よく言うわー」


「一応弁明しておくが、俺が殺したわけじゃないから」


「知っとるわー」


「……帰ってくれないか」


「いやや!」



 そうか。ではしょうがない。俺も強行手段に出ようじゃないか。



「龍の長として汝に命ずる今すぐ立ち去れ・・・」


「すんませんでした」


「そんな価値0の土下座とかいらん」


「この美女の土下座を価値0ゆうんか?」


「ああ、価値0だな。そんな余力があるなら、この宿にいる妖精と遊んで来て俺の目の保養にだな」


「それは却下やわ。ほんま変わらんなぁ」


「ちっ」


「ご主人は卑屈やなぁ」



 卑屈か。あまり言われたことはないが、そうだとすれば、妹の熱烈な追っかけ(女)に何度も襲われた結果だろうな。


 母は弁護士である叔父に会いたくないからとか言うよく分からない理由で、俺が警察に行くのを止めた。別に他の人に頼めばいいだけだろ。


 あの時、母の言っていることがすぐには信じられなかった。



「とりあえず帰れこの廃エセ関西人」


「そうウチはネトゲをやりこんだ伝説の……って違う!」


「はいはい廃人廃人」


「雑やな。って、そういうことやないんや。ウチここのオーナーなんや」


「ほう。それならこの鍵で解ける結界も解けるんじゃないのか?ここの宿のものだし」


「この宿はご主人が来てくれるように、ご主人の理想の空間を作ったから、ウチも入れない。だから、ご主人も安心して古代魔法が使えたやろ?」



 まあ確かに。うむ、そういわれればそうか。

 俺の理想の空間を用意してくれるなんて、なんてできた龍なんだ。おかげで釣られちゃったよ。

 しかし。



「帰れ」


「なんでや!」


「お前を■■の近くによせちゃいけない気がする。というのは建前でただ単純にお前の後ろにいるランが金剛夜叉明王と化している」


「普通そこは阿修羅とちゃう?あとマイナーなものを出してきたんはいいんやけど、金剛夜叉明王ってなんや?」


「む?五つの眼があり、武器を持って悪を喰い尽くす。五大明王のひとつなんだけど、知らなかったか?伝説のネトゲ廃人ともなればさすがに知っていると思っていたが」


「なんでやねん」



 昔俺とノエルの悪ふざけでちょおとやりすぎて、ネットがつなげるようになったのは衝撃だったなー。

 そしてものすごい勢いでネトゲにハマった龍を見て俺は頭を抱え……てないな別に。どうでもいいし。



「で、後ろを振り返らなくていいのか?」


「怖すぎてよう見れへんわ」


「ねえ、オーナー。なんで、僕のフィギュアを壊したのかな?別に僕は怒ってはないんだ。そう怒ってはないんだよ。だから、なんで壊したのか聞かせてもらおうじゃないか」


「ひいっ」



 水の龍はいなくなった。ランに首根っこを掴まれて。


 というか、あれはランが全力の装備だったように記憶しているんだが。あれ水の龍死ぬよな?


 ……気にしたら負けだ。そして俺は負けるのだ。



「ん?何が起こってたの?」


「あ、據。どうだった。ギルド長に一発いれれたのか?」



 本当は分かっているが、ここはあえて聞いてみる。



「無理だった。何故か体のふしぶしが痛くて」



 ……。俺に思い当たることはないな。そう、例え昔収縮魔法を使ったやつがその後似たようなことを言っていたところを見ていたとしても。



「む?ギルド長が性懲りも無く據の二つ名を進化させるために頑張っているようだ」


「……」








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