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魅了の魔法が解けたので。  作者: 遠野
嘲弄編

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13 さあさお立ち会い!(1)

 ノラさんが誘ってくれた『王都に向かうクエスト』は、いわゆる警護・護衛にあたるクエストだ。

 なんでも毎年この時期になると、王都で催されるマーケットへ品物を卸しに行く老夫婦がいるらしく、その往復の道に用心棒としてついて来て欲しい……というのがクエストの内容なんだとか。

 道すがら現れる魔物を退けるのはもちろんのこと、馬車の積み荷や売り上げを狙うゴロツキを締め上げるのが私たちの役割で、王都に滞在する間――今年は一週間を予定しているらしいんだけど、その期間は自由に行動をしてもいいらしい。

 老夫婦はその一週間を王都で暮らす娘夫婦のところでお世話になるとのことで、なるほど確かに、家族水入らずの時間にお邪魔するのは忍びない。

 そういうことなら、その時間はありがたくノラさんとの王都観光に使わせてもらうことにしようっと!


 王太子の件については『猫の手を借りたくなるほどクソ忙しい年末に王太子が城を抜け出すなんて誰も許さないだろう』ということで、小難しいことを考えるのは放棄した。

 だってさ、せっかくノラさんが楽しい楽しい旅行(クエスト)に誘ってくれたのに、あの子のことで気を散らして肩に力を入れてたら、絶対楽しめないよなって思うわけ。

 そんなんじゃ、私の息抜きのためにって誘ってくれたノラさんにあんまりにも申し訳ないから、考えすぎるのはやめることにした……って感じかな。正しくは。


 もちろん、万が一に向けて備えておくのは大事だから、いざって時のための対策くらいは練っておくし、その時のための準備だってするけどね……。

 何もないのがやっぱり一番なんだよ、私とウィロウの心の安寧のためにもさ。












 荷物の整理をして、足りないものは買い足して、万が一の時に備えた計画を立てて、息抜きに厨房に立って、ノラさんと晩酌をして……なんてしているうちに、あっという間に出発の日。

 四次元ポーチも万が一の時の対策も準備万端に整えて、意気揚々なノラさんと一緒に依頼者との集合場所に向かえば、老夫婦は私たちをあたたかく迎え入れてくれた。


 過去に何度か二人の用心棒を務めたことがあるノラさんには今年もよろしくねぇと握手していたし、初めて顔を合わ……合わせ……合わせる……いや旦那さんの方はこれが初めましてじゃなかったな??

 私が初めてこの町に来た時、道すがら幌馬車に拾ってくれたご老体がどうやら依頼者夫婦の旦那さんだったようで、こんな巡り合わせもあるのか~とお互い顔合わせでびっくりしてしまった。

 でもまあ、このサプライズのおかげで私もご夫婦と打ち解けられたわけだし、無問題(モーマンタイ)ってことで!



「あの、本当に御者を任せっきりにしちゃっていいんですか?」

「もちろんよ。ね、貴方?」

「ふふ。見えないかもしれないが、昔は領主様の屋敷で働いていてね。隣の領にお嫁に行ったお嬢様の馬車を引くのはぼくの仕事だったんだよ」



 ――ガタゴト揺れる幌馬車の荷台にはご夫婦が卸しに行く品物と、私と、ノラさんと、奥さんが乗り込み、御者の席には旦那さんが座って馬の手綱を握っている。


 イグレシアス領から王都までの道のりは長い。

 たとえ馬車に乗ったとしても、一週間近くかかってしまうくらいにはめちゃくちゃ遠いと言えば、私が王都から逃げ出すために転移魔法に頼った理由もよーくわかってもらえるんじゃないかなと思う。

 それだけ距離がある旅程なので、てっきり私たちが用心棒だけでなく御者も手分けして担当するんだろうな~と思っていただけに、行きも帰りも旦那さんがやってくれると聞いた時は拍子抜けしてしまった。


 ノラさんも奥さんも、さもそれが当然ですって感じで幌馬車に乗り込むものだから、『それでいい、のか……?』と思いながら私も乗り込んだけどさ。

 いやでもやっぱり一週間はキツくない? ただ座って馬車に乗ってるだけもつらいけど、ずっと馬の手綱を握ってる方がよっぽど大変じゃん?? と思って、町の外のゆるやかな坂道を上るさなかにたずねてみたところ、……なんか、あの、いきなりとんでもない情報がぶっ込まれなかった今??? え????



「……お嬢様、というと」

「ええっと……アドルフ様の娘だから、今の領主様のお姉様にあたる方だっけ?」

「そうそう」

「お嬢様の御者として恥ずかしい真似はできないからねぇ。今でも馬車をひく腕は衰えていないつもりだし、体力だってばっちりさ。だから安心して任せておくれ」

「……………………わぁお」



 わいわいとおしゃべりするノラさんたちの話を聞きながら、私はと言えば引きつりそうになる表情筋を一生懸命に動かして、動揺を誤魔化していた。

 ……いやだって仕方なくない?

 アドルフ様(おじいさま)の娘で、今の領主様(ウィロウのパパ)の姉ってことは、つまりはウィロウの伯母様じゃん??

 え、旦那さんがあの方の御者を務めてたってマジ?? 本当に????


 ウィロウの伯母様は話の通り、隣の領地に嫁いでいった方なので、イグレシアス領に残っている叔父様と違って滅多にお会いできない人。

 でも、めちゃくちゃ素敵なつよつよレディで、私もウィロウも、なんならウィロウのママだって大好きだったんだよね……!

 まあ、ウィロウのパパは絶対服従でも誓わされているのかな? と思うくらい姉に対して頭が上がらないから、伯母様が来ることが決まるといつも悲壮な顔してたけど(本当に申し訳ないけど、私はそんなウィロウのパパと伯母様のやりとりが面白くていつも笑い転げていた)。

 それでも、妻や娘が姉のことをよく慕っているし、姉も姉で二人を可愛がっているからって、泣く泣く受け入れてくれるあたりがいい弟で夫でありパパだと思うよ。いや本当に。



(……ところで、)



 旦那さんの経歴的におじいさまとコードさんとも顔見知りの可能性がめちゃくちゃ高いと思うんだけど、あの日に私が旦那さんに拾ってもらえたのって、もしかして偶然じゃなかったりする……?


最近、お話に対するリアクションの種類が増えて楽しいですね?

いつもありがとうございます!

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