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お題シリーズ4

信じられない力

作者: リィズ・ブランディシュカ



 デートして町を歩いていた時、その不幸な出来事が起きた。


 事故で制御不能になった車がこっちにつっこんできて、近くにあった太い電灯の柱にぶつかった。


 その影響で柱がぐらりと傾いて、倒れてきた。


 僕は少し離れていたから、彼女にかけよれなかった。


 あの時ほど、近くにいなかったことを後悔した事はないよ。


 結果、つきあっている大事な彼女が、重い柱の下敷きになってしまった。


 それを見た時、できるかどうか考えるよりも前に、体が動いていたんだ。


「今、助ける。大丈夫、絶対助けるからっ!」


 とにかく必死だった。


 彼女を助けなければ、とそれしか考えていなかった。


 声をかけて、励まし続けながら、僕は手を動かす。


 柱を手で支えて、精いっぱい持ち上げようと歯をくいしばった。


 後から聞いた柱の重さは信じられなかったよ。


 でも、できた。


 持ち上げる事が出来た。


 柱をどかして、下敷きになった彼女を助ける事ができたのだ。


 事故を見ていた周りの人が、彼女の体を移動させてくれたから、僕はすぐに手を離してしまったけどね。


 僕、実はあんまり体が強くなくて、重たい物を持つなんてそんなにした事なかったんだよな。


 でも、事故が起きた時は緊急時だっから、体のリミッターみたいなのが外れたのかな。


 人間は危機的状況に面した時、火事場の馬鹿力っていうのが出せるみたい。


 確かに、あの時は信じられないくらい力が出ていたな。


 きっと彼女を助けたい一心だったからだ。

 愛の力がなした奇跡だよ。


 なんて言ったら、退院した彼女は「その言い方は、恥ずかしいよ」と照れていたけど。


 そして「もうあんな奇跡は起きないね」と彼女はいったけど、そんな事はない。


 だって僕は彼女が好きだから。


 君の危機なら何度だって、信じられないくらいの力を出せるはずだ。


 もちろん危機なんて、ないに越したことはないけど。



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