獣人の生態
――良し…まずはこの獣人さんたちの生態を調べてみよう。
彼らの朝はとても早かった。
僕もこの地球に来てから、原始人のような生活となり、太陽が昇ると同時に起き、沈めば眠ると言ったサイクルを取っていたのだが…。
獣人さんたちは太陽よりも早く起き、朝の運動がてら組手らしきものをやっている。
組手を行っているのは男性だけでなく女性も同じように行っており、糖目から見てもその切れ刃一目瞭然だ。
僕がナイフなど武器を持っていたとしても到底かなわないだろう。
僕は何かに書き込みを行いたいのだが…かき込める紙やペンなどは何もない。
仕方なく誰にもばれないよう、スマホを取り出し、メモ機能を使いこの情景を書き表した。
「お~い!カズヤさん!カズヤさんも一緒にやりませんか!スッキリして気持ちいいですよ!」
ニアちゃんに呼ばれ、大所帯の中、見よう見まねで行うがどうもうまく行かない…そりゃそうだ、僕は武道とは縁遠かったのだから。
しかし動くとスッキリするもので、頭がさえるような気がする。
「これが我が一族につたわる、ハカだ。決闘の際に相手を威嚇する目的で行われてきた動きを戦闘にも応用できるようにした特別性ハカ、お前さんも一通りできるようになれば、体力も向上するだろう」
「は…はぁ…」
――ハカ…いや、あのハカではないはずだ。名前が同じ事くらい有るだろう。ただ内容は凄く似ていたな…特に決闘の際、使用していたって所が。でも動きは完全に空手なんだよな…。訳が分からん。
そしてこの朝の運動が終わった後、獣人族は何をするのか…。
それは、
「せい!はぁ!とう!や!」
またしても運動である…今度は実践と言わんばかりに、男同士で戦い合い技を競い合っている。もろに腹を蹴り、顔面を殴る、その拳に全くの迷いはない。
僕が呆気に取られていると…。
「どうした?お主もやりたいのか?」
「いえいえ…僕は遠慮しときますよ。それにしても本格的な戦闘訓練なんですね…。」
「そりゃそうじゃよ。なんせ自分たちの将来が掛かっとるからな」
「将来…強さで決まるとかそう言ったのもですか?」
「まぁ簡単に言えばそうじゃの。強ければそれだけ多くの女と子をつくれる。弱ければ自分の子はおろか生き残れるかも怪しい…。この世界はそう言う所じゃ」
「そ…そうなんですね…」
「お主も鍛えんといずれ後悔するときが来るかもしれんぞ」
「こ…心に止めておきます…」
男同士の殴り合いを見届けた後…太陽が丁度真上に来た。
正午…獣人たちは、昼寝をしていた。
「フムフム…昼頃に昼寝…。健康的…」
朝ごはんと昼ご飯はどうするのか気になっていたが…まとまって食べるのではなく、各自で木の実や魚などを取って食べるらしい。
栗やドングリのような木の実を皮が付いたまま強靭な顎でかみ砕き食べている。
どうやら木の実が主食らしい。
魚は海や川がある時にだけ食べるそうだ。
本当は肉が食べたいらしいが、今はその季節では無いのだ言う。
どうやら動物たちが現れるのはもう少し先になるのだとか…。
この時言われたのが、もしその時まで一人だったら確実のお前は食われていた、と言われ…いったいどんな生き物なのか興味がわくとともに…恐怖心が身を震わせた。