第1章 学園編 1.うっかりしていた
初投稿です。初心者なのであまり期待しないでどうぞお願いします。
「……よ……います。……おはようございます、リリー様。朝でございます。」
小鳥の声、瞼を照らす朝日、ちょうど良いそよ風が吹き込む、気持ちの良い朝だ。ゆさゆさと揺すられ、私を呼ぶ声に応えるようにして意識が覚醒する。
「……う……はよ」
ベットから起き上がり、枕元の時計をぼんやりと見た私はぴたりと固まった。現在の時刻、5時。昨日寝た時間、(今日の)たぶん3時くらい。睡眠時間、約2時間。
「……ん??ガブリエル?まだ起きる時間じゃなくない?」
思わず起こしてくれた天使に文句を言ってしまう。私を起こしてくれたのは、文字通り天使だ。幻想種の一種で、背中に白い翼をもつ人型の幻想種であり、ほとんど実在が確認されていない為に半分くらい伝説の存在となっている。
目の前でメイドのように私の世話を焼いているのは、そんな存在のうちの1人。翼は人間への擬態の為に隠しているものの、たゆたう金髪に緑玉の瞳、優しげな眼差しは正真正銘の天使だ。
「いいえ、リリー様。私も昨晩お忙しかったリリー様を起こしてしまうのは苦渋の決断でございました……。ですが、昨日新たに王命が下ったことを覚えてらっしゃいますでしょうか?」
そういえばそんな事もあったような気がする。が、ろくな事言わないジジイの長話で、ほぼ寝てたから内容を全く覚えていない。
「えーと……。」
「はぁ……。ご主人様、『第2王子付き筆頭メイド』の役職を新たに授かったんですわよ。あんなに簡単に引き受けちゃうなんて、話聞いてんのかって思いましたけど案の定でしたわね。」
「リリス!言葉遣いが悪い!!」
若干悪態をつきつつ教えてくれたのが、リリス。悪魔だ。天使と同じく、伝説級の幻想種で、黒い蝙蝠の翼、先端がハート型になっている尻尾を持っている。黒髪をピンクのリボンでツインテールに縛り、ピンクトルマリンのように輝く瞳は悪戯っぽい光を灯している。こちらもガブリエルと同じくメイド服だ。
しかし、大問題である。第2王子付き筆頭メイド……。ただでさえさえ忙しいなのに生返事であらたにクソ忙しそうな仕事を引き受けてしまうとは。めんどくさい……。
ぼすん
「こら!リリー様!2度寝しないでお支度なさいませ!めんどくさいのはわかりますが、行かないともっとめんどくさくなりますよ!!」
背後から抱えられて強制的に起こされる。背中に当たる感触に反抗しようとするも、ガッシリ捕まえられていて逃げられない。この巨乳がぁ……。
「うぅ……」
「わたくし達も手伝うんですから、頑張って起きてくださいませ」
キツい言葉とは裏腹に、ぽんぽんと頭を撫でる手は優しい。
引き受けちゃったものはしょうがない、起きるかー。
「???なんでわたくしの胸を見つめてるんですの?」
「いえ、ナンデモナイデス」
人それぞれの好みがありますからね。大丈夫だぞ!
「だからなぜサムズアップ?」
後書きで毎回世界設定の補足をしていこうと思います。本文の中で書きたいのですが、書く力が足りてないのでこうさせてください。
幻想種:人間が住む現世の裏側の世界である『精霊界』に住む存在。人間が魔法を使うためには、彼等と契約する必要がある。