コンプレックスを抱えた少女と素直になれない王子さま
「ギース様、やめて頂けますか?」私は彼を睨みながらそう冷たい声で言い放った。
精一杯強がった声で話してはいるものの、涙で視界が滲んでいる。
どうして、ゴリラ娘なんて言われなきゃいけないのよ。私だって、別に自分が可愛いとは思ってない。だけど、そんなこと言われたら私だって女の子だ。悲しくなる。
「悪かった…」彼は消え入りそうな声でそう呟いた。
「えっ…?」慌ててギースの表情を見ると、とても慌てた表情をしていた。
すると、メルが怒った顔で、「ギース様はほんとに不器用なお方ですわ。どうして、可愛いという事が言えないのですか?? 照れ隠しですか? 好きな子ほど、いじめたくなるという子どもっぽさは子どものうちは可愛らしいと思われるのかもしれませんが、大人になってもそのままだと嫌われますわよ。」とギースにはっきり告げた。
「悪かったよ! 俺は女の子の扱いとか分かんないんだよ。別にそうやって褒めて、機嫌とらなくても良いだろ??? 面倒くせぇ。用事が終わったならさっさと帰れ。俺は仕事が山積みなんだよ。」そういうと、彼は私達2人を部屋の外に押し出した。
扉を閉める直前にボソッと私の耳元で囁いた。
「ゴリラなんて言って悪かった。お前はちゃんと身なりを整えたら、悪くねぇよ。ま、俺のタイプじゃないけどな。」と意地の悪い顔をしてにやっと笑った。
ほんとにこの男は、どうしようもない。
どうしようもないけれど、私が思っていたほど悪い男ではないのかもしれない。
ただ、とっても不器用なだけで。
「ねぇ、メル。あなたが言っていたことが少しだけ分かった気がするわ。」私はそう言うと、メルに微笑んだ。
「でしょう? 素直じゃないだけなのですわ。」そういうとメルもいたずらっ子のような笑顔を浮かべた。
それから、私達は夕飯を食べて休むことにした。
ギースは私に、立派な部屋を用意してくれた。
キングサイズのベッドに、高そうなクローゼット、ドレッサーなど、何も不自由が無いように揃えられていた。
化粧品もお洋服も充分すぎるくらい揃えられていた。
そうした所からも彼の優しさを感じることが出来る。
意地悪なのは口だけだった。
あの時、彼に声をかけてみて正解だったのかもしれない。
私はベッドに入ると、天井を見つめた。
私はこの世界から、元の世界に戻ることが出来るの?
ふとそんな事が頭をよぎった。
いくら考えても答えなんて出ない。
だったから、今はこの世界に適応していくために私は頑張るべきだよね。
悩む時間なんてない。
私はいまの私に出来ることを頑張るだけ。
よし、明日に備えて寝よう。
私はそうして、目を閉じた。
次の日の朝、メルが扉をノックする音で目が覚めた。
「らる様、今日はお客様が来られる日なのですが、ギース様から一緒にお迎えするようにと言われました。ですので、本日の身支度も私がお手伝いさせて頂きますわ。よろしくお願い致します。」メルはそういうとお辞儀をした。
「お客様?? よく分からないけど分かったわ。」
「らる様、それはよく分かっていないと言うことですわね?」
2人で顔を見合わせると、笑いが込み上げてきて堪えきれず笑ってしまった。
メルに支度を手伝って貰ってなんとか着替えは終わった。
今日の私の服装はワインレッドのドレスに、ハーフアップだ。
どこかの令嬢みたいな服装だ。
私じゃないみたい。
「メルは魔法をかけるのが上手ね。」
「魔法…ですか??」
「えぇ。そうよ。貴方が私のメイクをしてくれたら、まるで別人のようになるの。私じゃないみたいに。」
「そんなことありませんわ。メイクにはそこまで人を変える力なんてありません。貴方は綺麗なお顔立ちをされています。それにあうメイクをしただけですわ。ところでらる様、昨日どうしてギース様が怒っていらっしゃったか分かっていらっしゃいますか?」
「分かりません。」
「昨日、らる様が言われた言葉です。『私はどうせ石ころだもの。石ころをいくら磨いても石ころには変わりないわ。』というお言葉ですわ。ギース様は素直じゃ無いから、ゴリラとかなんとか言ってましたが、本当はそんなこと思われていませんわ。らる様が来られた時にギース様が私に言っておられました。『少女を連れてきた。もしかしたら、迷子かもしれない。優しくしてやってくれ。見た目は悪いからメルの力で女の子らしくしてやってくれ。森の中でドロドロになってしまっていたから。』と。ギース様は貴方の事を認めていますわ。だから、そんな貴方を卑下した貴方を許せなかったのです。」メルはそういうと私の背中をポンッと叩いた。
「そうだったの…? 私全然知らなかったわ。」
「そうですわ。だから自信をお持ちください。大丈夫ですわ。」
「ねぇ、メル。私この国のこと何も知らないの。だから、教えて欲しいの。私ここに置いて貰ってるからには、知りたいの。」私は、そういうとメルに頭を下げた。
「おやめください。頭を下げて頂かなくても、私は喜んでお伝えしますわ。」そういうと、メルはにっこりと笑った。
「さぁ、朝ごはんを食べに広間に参りましょう。後でギース様から今日のお客様について、お話があると思いますわ。」
「わかったわ。ありがとう。」
そう言い、メルは私を広間に連れて行ってくれた。このお城はとても広く、迷子になってしまいそうな程。
メルがいなかったら私、トイレも行けないくらい。
すれ違う使用人達は私に頭を下げてくれる。
しかし、頭を下げながらも睨んでくる人、こちらを不審がっている者など歓迎されていない事だけはわかる。
突然拾われてきて、身元もわからない人間だから仕方ないのだとは思う。
でも、少しだけ辛い。
私も頑張って認めて貰えるようにならなければ。
そう思った。
広間に着くと、ギースはもう座っていた。
「おはよう。」彼は私の姿を見つけるなり、声をかけてくれた。
「おはようございます。」私はギースに笑顔で返した。
ギースは目を逸らして咳払いをし、「早く食べるぞ。」といい、朝食を食べ始めた。
「いただきます。」私もおなじように食事を口に運ぶ。
この後、波乱が待っているとは知らずに、私はのんびりと食事を楽しんでいた。
こんにちは!!こんばんは!
おはようございます!(大声)
今日は皆様にお知らせがあります!!
今日から毎日投稿チャレンジをしたいと思います(ドンドンパフパフ)
とりあえず投稿ペースをあげます。
頑張ります!!!!!
残りのキャラも出してあげたいので、執筆頑張ります(*´ω`*)
毎日投稿とか言いつつ、毎日投稿出来るか既に不安ではありますが!!!
精一杯頑張りますので、温かい目で見守って頂けますと嬉しいです!!!
更新情報はTwitterの方でお知らせ致しますので、フォローして頂けますと嬉しいです(*´ω`*)
では、本日はこれにて。
どろんっ。