神格の説明と実践
とりあえずいつも黒モヤ、もとい俺の《権能》の実験と練習をしていた空き地にやって来た。
ここは人通りが少なく、何かやらかすなら絶好の場所だ。
「それで、俺の《権能》とやらに神格があるってどう言う事だ?神格があると無いとだとどの位違いがある?」と聞くと黒スーツの女の方が、
「まずこの力が何処から発生したのか説明しよう、この力は人間そのものが持つ力が覚醒したとかでは無く、あの化け物にあった人間にその人間の事を気に入った神々や精霊、妖精などが生き残れる様に力を授けてくれるのだ。」とか言ってきた。
正直な話 神とか精霊とか妖精がいると言われても今まで存在しない画面の中にしかいないものだと思っていたからこの力とあの化け物と相対していなかったら、うわぁ〜この人痛い人だぁ〜。
としか思わなかったが、実際こんな力や化け物が存在しているならきっとそうなんだろうと信じることが出来た。
女の人の話はまだ続く。
「そして《権能》は与えてくれた存在の位に影響される。例えば神殿にいる大妖精から与えられた力とそこら辺の森にいる妖精から与えられた力とだと話にならないレベルの力の差が存在する、そして力を与える事自体が珍しい神々から与えられた《権能》は神格を帯びる。神格持ちと持ってない者にも相当な差が開く、我々は神格無しだから神格持ちの君と戦おうとすると戦闘経験や装備、得意な地形などでない限りほぼ神格持ちの君が勝つといったレベルの差だ。」そんなとんでも話をしてきた。
つまり今の俺は神格持ちだが戦闘経験もからっきしで装備なんて普段着なのだから何してもフルボッコにしてやるよという事だろうオーケー把握した。
オレ、コノフタリニサカラワナイ、ゼッタイ
そんな事は良くてまだ聞いてないことが色々ある。
「神格持ちか否かの重要性はわかりました。あと僕の力の特殊性って何ですか?」逆らわないと決めたので敬語で聞きながら、実際説明した能力でさえ本来出来るとこを相当に弱体化させたのだけどなぁとか考えていると、
「基本的に授けられた力は自身にのみ作用する。だから我々の持っている装備は授けられた能力に耐えうる強度のものか、その力を利用できる機構を持つものだ。だか君の《権能》は無機物なら何でも、それこそただの鉄パイプでさえ相当な武器になる。だろう?あと何で急に敬語?」と聞いてきた。
確かに俺の黒モヤはかなりの強度と想像力で大抵の形と性質、鋭さを付与できる。腕の一振りで空き地に置いてあった土管を輪切りに出来たのはいい思い出だ。
「敬語はこれから先輩になるかもしれない人なんですから当然です。能力に関しては確かにそうですね。そう考えるとかなりの応用性の高い力を貰えたようです。あと与えてくれた神の名前とかって分かりますか?」というと明らかに機嫌が良くなり先輩…と呟きながら、
「神々の名前に関しては分かる有名な神と人には認知されていない地味な神か高位の神の二択だ。君の能力に似た力を持つ神の事は知らないのでおそらく高位の神なのだろう。説明はこんなものでいいか、早速君の《権能》の力を見せてくれ。戦うのはこっちの大男の早見だ。」
そんな事を言ってきた。
え?俺これから負けゲーしなきゃダメなの?嫌なんですけど。俺は全力回避するべく、
「いやいやいやいや、僕はまだ一応入院中ですし、そんな激しい運動は出来ませんからまた後日という事に致しませんか?」
と言ったがもう君の怪我が完治しているのは医師に確認済みだ。と逃げ道を潰された、ちくしょう。
こうなりゃヤケだ目標としては一撃いいのを叩き込むだ。あの早見とかいう男を呻かせてから倒れてやる。
そんな事を考えながら周りに黒モヤをぶちまけ心眼もどき状態にしながらそこに落ちていた枯れ木を掴み、黒モヤを纏わせ構えた。
さぁ負けゲーだろうが本気の冒険をしようか。