黒モヤの取り扱い説明書1
この三ヶ月の入院期間中は大体外出禁止っぽいので、ベットの上でこの変な力の使い方を確かめていこうと思った。
この力を使うにはまず取り出す事からなのだが、これは案外簡単だった。なにせ心臓の近くにある黒いモヤに意識を向けた途端に目の前に引きずり出されるのだ、最初に出てきた時にはビビって動いてしまい、痛みプラス驚きで結構な声量が出てしまいナースさんがやってきたのはいい思い出だ。
ーーーそんな事はよくてこの次の力を操作するのが大変だった。目の前にぶちまけられたモノはどれだけ意識を向けてもうんともすんとも言わず、ピクリとも動かない為、2日程の時間を無駄にしてしまった。
ただこの黒モヤを自身の身体に纏わせてみるという事を思いついてからは早かった。
腕に纏わり付かせてから腕を動かしてみると黒モヤは補助器具のように俺の身体の動きを補助してきて、ほとんど力を込めていなくとも簡単に動かせた。なのでとりあえずは自分の身体に纏わせて動かす感覚を掴み、徐々に身体から離して動かすことをしてみると案外簡単に動かすことが出来た。
しかしここからがまた問題で俺は腕が二本しかない。
いきなり何を当たり前の事をと笑われると思うが、この黒モヤを動かすにはかなりの集中力がいる。その為自身の腕を動かす時にはこの黒モヤは動かせないし、逆に黒モヤを動かしている時は指一本動かすのも大変だった。まぁこの辺りは使うにつれ少しずつ出来るようになると思うので努力あるのみだという結論に至った。
もうちっとだけ続くんじゃ