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あとがき

 こんにちは。「血脈の傀儡」を最後までお読みくださいまして、ありがとうございます。

 作者は本を読むときは後書きを先に見てしまうタイプです。後書きページから開かれた方、この先には多大なネタバレが含まれますので、また後でお会いしましょう(笑)。


 この「血脈の傀儡」は、作者が十年以上書きたかったお話であり、一次創作をするきっかけとなったものでもあります。思い入れが強い作品なので、かなり自分語りの混じった作品語りをしたいと思います。よろしければ、お付き合いくださいな。


 私は王道が好きです。「悪者」が居て、それを何とかしようと頑張る「主人公」が居る、王道……型通りのお話が好きです。特に好んで読んだのは「恵まれない境遇にいた主人公は実は選ばれし者である。敵をやっつけて、最後にはハッピーエンド」。特に、実は主人公は王族/貴族の生まれであり、最後にはそれなりの立場を得る……という、いわば「貴種流離譚」だと尚更、昔から大好きでした。

 はっきり言って、ドラゴンクエスト(VとかVIIIとか)みたいなやつですね。デルトラ・クエストも大好きです。ハリーポッターとかも当てはまるんでしょうか。あぁあと、五歳の時にテレビ放送していた「明日のナージャ」からも、強い影響を受けています。

 シンデレラは好きではなかったです。白馬の王子様が助けてくれるんじゃなくて、自らの力で切り開く主人公に憧れを抱きました。そして、そんな人間を描いてみたいと思いました。

 そうして生まれたのがこのお話と、登場人物です。思い入れの強い設定、登場人物についていくつか語らせてください。


<設定、テーマについて>

 オリジナリティ溢れる、とは口が裂けても言えませんが、根幹の設定は少し珍しいものかなと思います。

 魔導士が迫害されるという設定は、魔女狩りの歴史を元にしています。魔女には悪魔の印と呼ばれる痣があって、見つかったら殺されてしまう。そこから生まれたのが聖痕の設定です。

 オリヴィアは孤児として人間社会で生きてもらわないと困るので、体の目立つところにそれがあると設定に無理がありすぎます。目の中にそれが現れたという設定、赤目が忌まれるものであるという設定に結びつきました。赤目が嫌われるという設定は、資料を集め、いざ執筆を始めるぞとなった2017年頃に作ったものかな。頭の中では完璧な美麗アニメが流れていると思っていたのに、いざ物語として矛盾なく書き起こそうとすると足りないものが見えてくるものなのですね。ちなみに、その設定が決まるまで、オリヴィアはなんと茶髪に碧眼でした。容姿だけドロシーに引き継がれた形になります。


 主人公の父親が反政府組織のトップであり、且つ王と双子の生まれというのは最初から決めていました。……最後に死ぬことも。

 初期プロットには実は国王の娘(アリーヤという名でした)が存在しており、その容姿が主人公にそっくりであるというものだったので、自動的にそう(王と双子)なりました。最初の設定では、オリヴィアがアリーヤと入れ替わるエピソードなんかもありました。

 レナードがオリヴィアの父であると判明する場所。あのあたりのシーンが、最も書きたかったものなのかしれません。主人公は流れる血に翻弄され続けます。でも、そんな特別な人に起こる摩訶不思議な出来事でなくて、もっと普遍的な親子の愛情がこのお話で最も書きたいものでした。


 テーマというのは作品中で黙示されるべきで、作者があとがきで言うようなことではないと思いますが……敢えて述べるならば、「愛」と「対立する正義」です。



<キャラについて>

 先にキャラごとの項目を作ってから見返しましたが、なんだかとっても作者の自己満足で痛々しいです。それだけ彼らに思い入れが強いのです。お付き合いくださると幸いです。


☆オリヴィア(Olivia Waverly/Libra)

 名前の由来は作中にて。魔導士としての苗字は、青竜が司る春の星座よりてんびん座。

 ずーーーっとぐずぐずしてましたが、物語中できちんと成長してくれたのは作者としてほっとしています。彼女はヒロインじゃなくてヒーローです。

 彼女に最後に許されたのは、自らが本当に望む二つを天秤に掛けることだけでした。でも、この先はきっと大丈夫です。


☆レナード(Leonard Enceladus)

 苗字の由来は、土星の衛星より。

 一見しただけだと完全無欠な強い人。でも、つつくと弱いところだらけな男です。そのあたりが伝わっていたらなぁと思います。

 どこまでも愛に生きた彼が、私は好きです。


☆ルーク(Luke Zubene L Genubi)

 苗字の由来は、てんびん座の一部・星宿「氏」の距星から。

 初期設定ではオリヴィアの従兄弟でした。結果的に落ち着くとこに落ち着きました。オリヴィアのようにうじうじと悩むような子供ではなく、迷いを自分で振り払う強さを持った「大人」です。


☆コーデリア(Cordelia Electra)

 苗字の由来は、おうし座の一部・星宿「昂」の距星から。

 彼女はオリヴィアを憎んでいます。姉と姪の死の間接的な原因であり、コーデリアがレナードに「選ばれなかった証」だからです。でもそれと同時に、レナードと同じ選択をする彼女の中に彼を見て、愛しく思ってしまうのです。そのあたりが書けていれば幸いです。


☆セオドア(Theodore Sadalmelik)

 苗字の由来は、みずがめ座の一部・星宿「危」の距星から。

 コーデリアほど露骨に表現しないだけで、彼もオリヴィアに思うところがたくさんあるわけです。初対面でちょっと虐めてますしね。オリヴィアと二人旅していたあたりのやり取りが、書いていて苦しかったです。


☆アルフレッド(Alfred Hydra)

 苗字の由来は、うみへび座から。

 彼は間違いなくレナードの息子でした。どこか歪で、どこか放っておけないところがある。彼は悪くないんですよね。


☆サイラス(Cyrus Alphard)

 苗字の由来は、うみへび座の一部・星宿「星」の距星から。

 彼もまた、レナードの息子でした。オリヴィアと同じ、アルフレッドに嫉妬した子供でした。一番に愛されるために力を求めた彼は、孤独でした。


☆ドロシー(Dorothy Waverly)

 彼女が抱いていたオリヴィアへの懸念は現実のものとなりそうですが、オリヴィアはその結果に満足しています。力に潰されないために孤独で戦った彼女が、一番強いのかもしれません。



 


 あとがきは以上になります。

 本編は前話までで終了ですが、あと少しだけ、本編ラストの時間から見て過去の物語を連載予定です。

 もう少しだけ、お付き合いくださると幸いです。


 2019.11.26 御崎 仲太郞

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