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幕引き

 ――オリヴィア。オリヴィア。

 優しい女の人の声がする。とても懐かしいようで、初めて聞く気もする。目を覚ましたオリヴィアの前には、ただ空白の世界が広がっていた。

 二つの龍が、せめぎ合っている。一つは青で、一つは金。

 オリヴィアは選ぶことが出来る。選ぶだけの力を持っている。

 受け入れるか、拒むかを。

 受け入れれば、たった一つ欲しくて得られなかったものが手に入る代わりに、全てが失われた世界が残る。

 拒めば、たった一つ失う代わりに、全てが元通りの世界に戻ることが出来る。

 どちらを選ぶべきかなど、最初から分かっている。ずっとそうしてきたのだから。そうやって、望むものを与えて貰ったのだから。分かっていても、選べない。何故運命は、オリヴィアに選べと言ったのだろう。こんな選択肢、求めてはいなかった。結果を与えられるだけなら良かったのに。選んだ責任など存在せず、現実を嘆くだけで良かったのに。

 ――あなたはやっぱり、レナードの子ね。

 光り輝く翼を散らしながら、銀の鷹が黄龍に向かってゆく。

 オリヴィアは、拒んだのだ。

 そしてオリヴィアには、黄龍を壊すだけの、力があった。


「オリヴィア……」

 目を覚ましたとき、瞳に飛び込んできたのは、闇の夜のような瞳だった。

「……ルーク」

 青年に、オリヴィアはしっかりと支えられている。この支えがなかったら、きっと、選べなかったのだろう。

 オリヴィアは黄龍を拒んだ。失われたのは――

 周りをぐるりと見渡す。黄龍は失われ、魂を源として生み出された土塊だけが辺りを埋め尽くしている。セオドアも、アルフレッドも、サイラスも、生きるために戦っている。オーウェンもいる。それで、皆だ。

 ――ブライアンも。

「……何故だ。何故、龍がいない」

 土気色の男は、唖然としたようにオリヴィアを見た。

「私は一つ、失ったよ。あんたは何を失ったんだ?」

 ブライアンは、それには答えなかった。

「これ以上、私から何も奪わせん」

 そう言って、懐から小刀を取り出すと――

 自ら、命を絶った。


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