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もう一度、僕たちの空を  作者: 浦風晴斗
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第17話 救出開始

「使徒、接近してきます!」


「対空砲火準備!主砲照準はナハトに向けたまま、全速航行を続けろ!」


 ACF本部を飛び立ったノアは程なくして使徒の襲撃を受けた。しかしノアの戦闘能力は高く、向かってくる使徒をものともせずナハトへ近づいていく。


「雅哉、主砲射程範囲まであと3分だ!しっかり穴開けろよ!?」


「穴を開ける前に落とされないようにしっかり支えてくれよ?」


 「ナハト攻略作戦」はノアでナハトの外壁に穴を開け、そこから一航戦を突入させ、内部からナハトを制圧するという作戦だ。突入後はノアを廃棄するというのだから、なんだがもったいない気もする。

 そして、僕と桜は第一突入隊としてナハトに侵入した後は由乃奪還作戦へ移行する。


「あんまり先に突っ込みすぎないでね?ビットが追い付かないと話にならないから。」


「分かってる。それよりも、なんで桜は僕と一緒に突入するって……」


「そんなの決まってるじゃない、幼馴染みに死なれたら後味悪いから。あの時、悠は私を助けてくれたでしょ?だから今度は私の番。それに、悠の隣は私の場所じゃないから……」


「へ?」


「少し前まで、悠とずっと一緒にいたいなって思ってた。幼馴染みとしてじゃなくて、恋人として。でもね、今は違う。悠の隣には由乃ちゃんがいて、私は、それを少し離れたところから見守りたいなって。」


「桜、それって…」


「あーあ、こうなるんだったら早く言っておけばよかったなー。全く鈍感なんだから。」


 初めて知った、桜の気持ち。

 家が近いこともあって、昔から桜とは仲良くしてた。でもそれ以上の感情は芽生えてないと思っていた。

 単なる「幼馴染み」でしかないと勝手に思っていたんだ。

 ずっと一緒にいながら、桜の気持ちに気付かず過ごしていたなんて…


「…ごめんな、桜。」


「辛気くさい話はここまでよ♪今は由乃ちゃんを助ける事に集中しないと。」


 気付けばノアはナハトへ主砲を発射していた。使徒の攻撃は依然として続いているが、特に目立った被害はない。

 恐らく、そんなに経たずに僕らはナハト内部へ突入することになるはずだ。


『悠、桜、聞こえるか?』


「はい!」


『これよりナハト内部へ突入してもらう。内部の構造は分からないが、これだけ大きな要塞だ、かなりの数の使徒がいると考えられる。索敵は厳に行い、由乃を救い出せ。』


「了解しました。」


『では、武運長久を。』


 ノアのハッチが開き、そこからナハトの姿が見えた。ノアの砲撃を受け、僅かだが外壁に穴が開いている。


「あそこから突入するのか…」


「ほら、行くわよ!」


 桜は翡翠の翼(オーロラ)を広げて飛び立っていく。僕もそのあとを「大和」を背負って蒼天の翼(スターダスト)を広げ、追う。

 空を飛び交う使徒は、ノアに気をとられていて僕たちには全く気がついていない。


「僕が先に入るよ、桜はビットを展開して。…背中は預けたよ。」


「任せなさい!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――


 僕と桜はノアの内部へと侵入した。侵入してすぐに使徒の襲撃があると思っていたけど、中には誰もいなかった。


「静かだな…」


「何だか気味悪いわね。」


 円形に続く白い廊下。横には扉もなく、ひたすら一本道のようだ。


『これが要塞だというのか。もぬけの殻ではないか。』


 エクスもそう言葉を漏らす。それほどまでに、ナハトの中は何もなかった。


「ちょっとこの壁、壊してみようか。」


 僕は水星(アクアスター)で横の壁をつつく。すると、けたたましい警報音が鳴り響いてしまった。


「やばっ!」


『侵入者アリ、侵入者アリ。ナハト内部ノ警備ヲ強化!警備隊ハ侵入者ヲ排除!』


「ったくもう、何やってるのよ!」


「ちょっとつついただけだって!」


「それでこんなになっちゃったじゃないのよ!…前!」


 僕たちの進行方向から、警備隊と思われる使徒がぞろぞろと歩いてくる。その数は15といったところか。


「たった15体でどうにかなるって?」


「後ろからも来てるわよ!」


 後ろからはさらに15体程の使徒が接近してくる。


「穏便に済みそうにはないか…やろう!」


 30体に及ぶ使徒。空で戦うならともかく、室内で戦うには数は十分多い。

 僕はソニックエッジを水星(アクアスター)に纏わせ、使徒に立ち向かう。警備隊というだけあって、普通の使徒より防御が強い。


「これじゃ探索が進まない…。そうか!」


 僕は、烈風に搭載された「ある機能」を思い出した。

 烈風は、ターミナルユニットとフライトユニットが分離出来るように作られていて、ターミナルユニットからの無線誘導により、フライトユニット単体での探索が可能になる「フライトサーチ」が搭載されている。。

 その間、烈風との通信を図るために使い手の戦闘能力が下がってしまうのが弱点ではあるのだが。


「ユニットパージ!頼むよ、烈風!!」


 烈風は僕から離れ、ノア内部を飛行していく。烈風が送ってくるデータによると、僕たちはまだノアの外縁部にいるようだ。


「悠、後ろ!!」


 桜の声。それを聞いた僕は白雪(スノーホワイト)を抜き応戦する。とりあえず、第一陣を抑えることには成功した。

 烈風からはどんどん新しいデータが送られてくる。入り組んでいるように見えても、中枢まではほぼ一本道のようだ。それでもかなりの距離はあるようで、未だに烈風が中枢へ辿り着いていない。


「一か八か、賭けてみる。」


「何をする気?」


「僕達のいる場所から、中枢部へは長い一本道みたいなんだ。けど、歩いて行ったんじゃ時間がかかるから……この壁をぶち抜く!」


 突如、背中の「大和」が白い光を帯びる。まるで僕に使えと言わんばかりだ。

 しかし、由乃が開発した「大和」は由乃の「紅の翼(あかのつばさ)」とリンクしなければ使えない。だけど…

 僕は試しに「大和」を脇に抱える。グリップを握り、壁の先、中枢部であろう位置に向けて照準を合わせる。

 すると、僕の翼の先が鼓動を打つように白く明滅を始めた。


「白い…翼…?」


『束ねられた虹は、白き光となる、その白き光は黒き闇を払う大いなる力…』


「エクス?」


『我らに翼を分け与えた神がそう言っていた。束ねられた虹とはどういうことなのか、今まで分からなかったが…なるほど、そういうことか。』


「一人で納得するなよな。」


『悠、貴様がその「大和」を使えるならば、我の仮説は成り立つ。まずはやってみろ。』


 僕は神経を「大和」に集中する。僕の手の平から、掴んでいるグリップへ、「大和」へ魔力が流れ込んでいくのが分かる。


「ブラスターーーシューーーーート!!」


 トリガーを引くと、一拍置いてから青白い閃光が「大和」の砲身から放たれた。エンデュミオンで放つそれよりも、格段に威力が上がっている。

 ブラスターシュートはナハトの内壁にぶつかると、そのまま壁に穴を開けていく。衝撃の強さにナハトが揺れるが、僕はそのままブラスターシュートを放ち続ける。


「ぶち抜けーーー!!」


 穴の奥の方から、爆発音が響く。それと同時に再び警報音が鳴った。


「緊急事態発生、緊急事態発生。ナハト中枢ニ侵入者、ナハト中枢ニ侵入者。コレヨリ防衛態勢ヲ強化。」


 僕はブラスターシュートで空いた穴に入り、その先を見る。穴の先にはわずかに光が差し、ナハト中枢への侵入ルートが確保されたことを教えてくれている。

 そして、あの先には恐らく由乃がいる。


「桜、手を!このまま一気に突入する!」


 僕は桜の手をしっかりと握り、先が半分ほど白くなった蒼天の翼(スターダスト)をはためかせる。200mはあろうかという通路をものの数秒で駆け抜けると、広い空間へと飛び出した。


「ここは…」


「悠、あそこ!」


 桜が指差した先、ステージの様に高くなった場所に由乃がいた。

 十字架に架けられている由乃は、うなだれたまま起きる気配がない。


「由乃、今助け……!」


「おっと、簡単に返すわけにはいかないな。」


 予想はしていたけど、僕と由乃の間にゼロが立ちふさがる。


「全く、200m先まで壁ごと撃ち抜いてくるなんて…作るのだって時間がかかるのに…」


「由乃を助けた後でナハトは落とす。」


「出来るのかな?」


「やるさ。僕は一人じゃない!行こう、桜!!」


「当たり前でしょ!?」


 僕と桜は背中合わせに立ち、それぞれの武器を展開する。


蒼天の翼(スターダスト)翡翠の翼(オーロラ)…キミたちの力がボクにどれだけ通用するか、試してごらんよ!!」


 僕は一気にゼロとの距離を詰め、ゼロの黒い剣と刃を交える。その後も立て続けに二刀流で攻撃するも、ゼロの表情は余裕だ。

 そこで、僕はエンデュミオンをほぼゼロ距離で発射する。いくらゼロとはいえ、この砲撃をかわすことは無理なはずだ。


「ちぃっ!」


 ゼロはどうにか体を捻って砲撃をかわそうとするが、ゼロの右腕を砲撃がかすめた。

 一度距離を取ろうと下がったゼロに対し、今度は桜のビットが火を噴く。

 全15基のビットが縦横無尽にビームを放つ。翡翠の翼(オーロラ)へと覚醒した桜のビットは機動性も高く、あのゼロでさえも簡単に落とすことが出来ない。


「この…っ!」


 ゼロの表情が、焦りに変わってくる。僕はビットの間を縫って、ゼロにソニックエッジを叩き込んだ。


「なんだ、この力は…!?」


「お前は人間の力を舐めすぎていたんだ。お前に人類は滅ぼさせやしない!!」


「っ……人間風情が!!」


 ゼロは怒りの声を上げながら、それでも隙を見せない攻撃を繰り出してくる。桜の援護があるからこそ一方的な戦いにはならないが、やはりゼロの戦闘力は僕より遥かに高い。


「キミ達の力がここまで成長しているとは予想外だよ。やはり覚醒した翼の力は侮れない。けどね、覚醒しているのがキミ達だけだと思ったら大間違いだよ?」


 ゼロはそう言うと、背中の翼を大きく広げる。僕の翼とは対照的にゼロのそれは真っ黒だ。


漆黒の翼(ダークネス)宵闇(よいやみ)の衣発動!!」


『しまった!』


 エクスがすっとんきょうな声をあげる。


「いきなりどうしたんだよ。」


宵闇(よいやみ)の衣は生半可な攻撃では破れん。それに、衣の耐久限界まで消える事はないのだ。』


「それじゃ、ゼロにダメージを与える事は…」


『通常なら、可能性は限りなく低い。だが今は…』


「今は?」


『白き光を、白の翼の片鱗を見せている貴様になら、衣を一撃で破壊出来る可能性がある。』


「白の翼……?」


『7色全ての能力を発揮出来る、最上位の翼。貴様が紅の翼(あかのつばさ)の「大和」を使えたのも、白の翼の片鱗を見せたからだ。「大和」の火力をもってすれば、ゼロの衣を破壊するのは不可能ではない。』


「やってみるしかないか。」


 僕は背中に背負った「大和」を構え、ゼロに照準を合わせる。


「キミにその砲が使えるのかい?使えたとしても、僕の衣は破れないだろうけどね。」


「やってみなくちゃ、わからない!」


 ありったけの魔力を「大和」に注ぎ込む。


「撃ち抜け!ブラスターーーーシューーーーート!!」


 「大和」のトリガーを引くと、さっきよりも太い魔力砲がゼロめがけて発射される。それは宵闇(よいやみ)の衣にぶつかるとまばゆい光を放ち、僕らは光に包まれた。

読んでいただき、ありがとうございます。そして大変お待たせいたしました、1ヶ月過ぎてしまって申し訳ありません


由乃を助けにナハトへ突入した悠と桜の同期コンビ、立ちはだかるゼロ、そして悠には新しい力が芽生える…

自分で言うのもなんですが、おもしろい展開になってきたんではないでしょうか。


さて、次をお送り出来るのはいつになるか…早めにやります、はい。

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