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おそらのきみへ  作者: ひかり
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ひかりのけつい

「ひかり…」

おっちゃんもひかりを見つめた。

『生まれ変われること、誰かから聞いたのか…瀬藤と前田さんは言う勇気がないだろうから…恐らくさくらからか…』

「ひかり、生まれ変わるってことはひかりはもうひかりじゃなくなるってことなんだよ。」

ひかりの目は真剣なままだった。

「違うママとパパの子になって、ひかりじゃない子供として生まれるんだ。」

ひかりはさくらの言ってたことが正しかったことにショックを受けて目線を落とした。

「ママと…また会えないの?」

「ひかり、よく聞いてくれ。」

おっちゃんはひかりの肩に手を置いて言った。

「ひかりは心臓に病気を持った状態で生まれてきた。それを含めて『ひかり』なんだよ。ママとパパはひかりの病気も全部含めて、ひかりを愛していただろ?生まれ変わって病気を持っていない、ママとパパも違う人だともうひかりではないんだ。」

ひかりは胸の傷跡に手を当てておっちゃんの話を聞いていた。

「それに、生まれ変わったら前のママとパパのことも、『おそら』のことも忘れてしまうんだよ。」

ひかりは顔を上げておっちゃんを見た。記憶をなくすことはさくらから聞いていなかった。

「ゆっくり考えたらいいさ。まだまだ時間はあるんだ。突然、こんなこと言われてもどうしていいか分からないよな?ひかりにもいつか話さなければいけなかったことなんだ。」

おっちゃんはひかりの手を引いて歩き出した。

いなくなったせいらたちも生まれ変わったのだろうか…そうひかりが思っていると、

「今はここで楽しく元気に遊んだらいいさ。」

とおもちゃ箱のところでおっちゃんはひかりの背中を優しく押した。

ひかりはおもちゃ箱の中にあった人形でおままごと遊びをし始めた。

おっちゃんは安心してその場を離れて行った。

さくらかとことこひかりに近づいてきた。

「さくら…」

さくらに気づいたひかりはじっとさくらを見つめた。

「どうしたの?」

さくらはひかりに聞いた。

「生まれ変わったらね、ママとパパのことも『おそら』のことも忘れちゃうんだって。」

さくらは少し考えてから、

「忘れちゃった方が幸せになれるんだよ。」

と答えた。

「どうして?」

ひかりはその答えに驚いた。

「だって、ママのこと覚えていたら新しいママがかわいそうだよ。生まれ変わるってまた真っ白な画用紙に戻るってことなんだって。」

ひかりはさくらの説明がよく分からなかった。

「生きている時はさくらの画用紙は黒とかネズミ色だったの。寂しくて悲しい色なの。でも生まれ変わったらきれいな色をいっぱい描いたり塗ったら良いっておっちゃんが言ってたの。」

ひかりは少し理解できた。

「ひかりは何色だったの?」

ひかりは考えた。

「薄いピンクと薄いネズミ色。」

薄いピンクは母親と父親たちの愛情、薄いネズミ色は寂しさだった。

「じゃあ、ひかりもいっぱいきれいな色にしようよ。」

さくらの言葉にひかりは胸のつかえが降りた気がした。

『光ちゃんの分までしっかり生きるって決めたのに。』

母親はそう言ってくれた。後はひかり自身が自分のことを決めなくてはいけない、そうひかりは思って、

「さくら、ありがとう!」

さくらにお礼を言って走り出した。

『おっちゃんに言わなきゃ!もう決めたよ!』

ひかりは久しぶりにとても爽やかで良い笑顔だった。

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