さいかいのじょうけん
ひかりはおっちゃんに母親に会いたいと頼んだ。
「すまんな、会わせられないんだ…」
おっちゃんは悩んだ末、ひかりにこう言った。
こうたろうの時みたいに母親の夢で会わせようとも思ったが、ひかりの母親が妊娠中というの理由だった。
「こうたろうのときは本当にまれだったんだよな。」
おっちゃんは瀬藤に話した。
「子供が母親に会いたがっても母親の精神状態が良くなかったら会わせられないだろ。こうたろうの場合は母親が自分の罪をちゃんと認めていたし、お互いの心を救うために会わせることが出来た。せいらは母親が精神不安定だったからダメだった。さくらは…本人が希望しなかった。」
「さくらの魂を幸せにするには生まれ変わることが1番ですね。今度こそ、家族と一緒にいる幸せを感じて欲しいですね。一緒に生まれ変わる予定のそうたの許可、まだ降りていないんですよね。遅いなぁ…」
瀬藤がぼやいていた。
ひかりはいくみとさくらと仲良く遊んでいた。
おっちゃんはその様子を離れたらところから見ていた。
「ごっさん!」
佐藤が突然現れた。
「なんで『ごっさん』なの?」
佐藤の声を聞いたいくみがさくらとひかりに聞いた。
「なんでだろうね。」
「仲良しだからじゃない?」
ひかりもさくらもおっちゃんが『ごっさん』と呼ばれていることに疑問に思ったことはなかった。
おっちゃんの本名が『後藤』だから『ごっさん』と佐藤は呼んでいるが、ひかりを含めた子供たちはおっちゃんの本名が『後藤』というのを忘れていた。
佐藤とおっちゃんは何か話していた。おっちゃんは驚いた顔をしていた。
「…何だって?!」
「さっきたまたま『境目』に来たって聞いたんだ…やっぱり…だろ?」
佐藤はおっちゃんにタブレットを見せながら言った。
「もし、会わせるならチャンスじゃないのか?」
佐藤はチラッとひかりたちの方を見た。
おっちゃんは黙って考えていた。
「ごっさん、俺はあんたの判断に任せる。あの子のことはごっさんが1番分かっているからな。一応報告までだ。」
そう言って佐藤は『おそら』を去った。
おっちゃんはしばらく1人で考え込んでいた。
そして、
「ひかり、おいで。」
とひかりを呼んだ。
ひかりはとことことおっちゃんのところへ歩いてきた。
さくらといくみは不思議そうにひかりとおっちゃんを見ていた。
おっちゃんはひかりの手をひいて歩き出した。
誰もいない場所に来るとおっちゃんはしゃがんでひかりの目をまっすぐ見た。
「ひかり、ママに会いたいかい?」
ひかりは以前、会わせられないと言われていたので驚いた。
しかし、ひかりは大きく頷いた。目が少し潤んでいた。




