あなのけしき
「さくら。」
ひかりは1人で寝転がっているさくらのところへ来た。
さくらはひかりを見てムクッと起き上がった。
「さくら…あのね…」
ひかりはもじもじしていた。そんなひかりをさくらはじっと見ていた。
ひかりは決心したように言った。
「さくらはママのこと覚えているの?」
さくらは驚いた顔で、
「ひかりも思い出したの?」
と聞いた。
「ママとパパのね…顔が分からないの…」
ひかりは悲しそうな顔をした。
さくらはしばらく黙っていた。
「お目目、つぶってたんじゃない?」
さくらはぎゅっと目をつぶって言った。
ひかりもぎゅっと目をつぶった。
「真っ暗だね。見えないよ。」
ひかりが目を開けるとさくらがニッコリ笑っていた。
「ひかりは穴掘ったの?」
「穴?」
さくらは床を指さした。
ひかりはこうたろうが床に穴を掘って眺めていたのを思い出した。
ひかりはしゃがんで床に穴を掘ってみた。
しかし、掘っても掘っても何も出てこなかった。
「あれ?おかしいなぁ…」
さくらが穴を掘った。するとある家の中の様子が映し出された。
ひかりは驚いてさくらにしがみついた。
女の人とさくらたちよりも大きな男の子がいた。
「あれがさくらのママと逞。」
さくらはひかりにニッコリ笑って言った。
ひかりはじっと2人を見つめて、
「さくらはママとパパに会いたいの?」
と聞いた。
「ママに会いたいけどさくらはもう死んでしまってるから会えないって。逞とは一緒に遊びたかったな。パパは…会いたくない。」
パパの時のさくらの顔は悲しそうだった。
「ひかりはパパも好きなの?」
さくらが聞いてきた。
「分からないけどいつも声が聞こえてたの。」
ひかりが答えた。
「おっちゃんなら何か分かるかも。」
さくらがひかりの手を引っ張って歩き出した。
「おっちゃんいないね。」
さくらとひかりは『おそら』中を歩き回ったが、おっちゃんに会うことが出来なかった。
途中で瀬藤やそうたと遊んだりしたので、2人とも疲れて寝てしまった。
『ママ…パパ…』
ひかりは夢の中でもママとパパを思い出そうとしていた。
『どうしてひかりはここにいるんだろう?』
ふと、疑問に思った。
気づいたときおっちゃんに抱っこされて『おそら』に来たが、自分が死んだことと『ひかり』という名前しか分からなかった。
片方しか履いていない靴下にも『ひかり』と書かれていた。
「なんで、ひかりは死んだの?」
さっき、さくらに聞かれたが、ひかりは分からなかった。
『分からないよ…』
ひかりの目から涙がこぼれた。




