こえ
「この子の…。大きな病院へ行って見てもらってください。紹介状を書きます。」
「そんな…何で?!うちの子が…どうして…」
泣いている。女の人―ママが泣いている。すごく悲しそう。
「やはり、…です。毎週エコーで見ましょう…」
ママ…また泣いてる。悲しいよ。
「俺も職場の上司に話して休みもらって一緒に病院行くよ。俺たちの子だ。大丈夫だよ。ほら、こんなに足で蹴っている。元気じゃないか。女の子だったんだよな?名前、考えよう。」
この声は…パパ…
「ひかりちゃん。バァバァですよ。あら、おねんね中かしら?もう、女の子って判ってからピンクのかわいい服ばっかりに目がいってしまうのよ。そうそう、ベビーオール買っておいたわよ。ひかりちゃんが着てくれるの楽しみにしてるからね。」
時々聞いていた声だ。この声にママも安心しているような気がする。
「ジィジィだよ。おっ、動いた。バァバァよりもジィジィ好きなんだね。退院したら夜もずっと抱っこしてあげるからね。公園と…あと遊園地にも連れていってあげるぞ。いっぱい連れて行ってあげたい所があるな。」
この声は…守ってくれている気がする。
「ゴメンね。ひかりちゃん。ママのせいなのかな…」
ママ…また悲しそう。
「この子、さすが俺の子だな。今日、いっぱい動いて先生たち、エコーとりづらそうだったな。おかげで診察時間、長くなってしまったけど。いいぞ、ひかりちゃん。元気が一番だ。来週も頼むぞ。」
…ほめられたのかな?少しうれしい。
「今日は指、動かしてたよね?めちゃくちゃかわいかったわ!」
ママ…うれしそう。
「病気があってもなくても、この子は私の子にはかわりないのよ。絶対に産むわ。」
…ママ、もう泣いてない。
「色々生活が大変になるでしょう?私も協力するから。何か困ったことがあったら遠慮なく言ってきて。ひかりちゃんは私たちの孫だから。」
ママ…泣きそう。だけど悲しくなさそう。
「生まれた後の手術のことですが…」
「ひかりちゃん、痛いけどママ頑張るね。だから、元気で生まれてきて…」
痛い…狭い…グルグルしている…眩しい。
「オギャ、オギャ…」
「生まれた…」
「頑張ったな!ひかりちゃんも頑張った!」
苦しい…けど、ママあったかい。
「では、連れていきますね。後でNICU(新生児集中治療室)に来てください。」
あれ…ママがいない…苦しい…痛い…また眠くなってきちゃった…




