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おそらのきみへ  作者: ひかり
30/53

へんか

“山田襲来”後、『おそら』にはいくつか変化があった。

1つ目はおっちゃん以外に若い男女の天使が交代で子供たちのお世話をすることになった。

男性天使の名前は瀬藤(せとう)、女性天使は前田だった。

瀬藤は2枚目で優しそうな顔つきだった。さくらやゆあは瀬藤になついて、「せとー、せとー」と呼んでいた。

「子供も若い男の方が良いんだな。」

おっちゃんは少し悲しそうだった。

2つ目はさくらは気持ちが吹っ切れて明るくなったことだった。

「結局、あの赤ん坊と生まれ変わるので良いんだな?」

佐藤がおっちゃんに聞いた。

「あぁ、まさかさくらが言ってくれると思ってなかったけどな。」

「赤ん坊と姉弟(きょうだい)になるって?」

「ひかりがそうたをよくかわいがってたからひかりが言ってくる可能性があるとは思ってたんだが。」

「じゃあさくらでいいのか?」

「いいさ。そうたは生前の記憶を思い出すってことはまず無理だからな。このままだと『極楽』に行くことになりそうだったからな。誰かが兄弟になってくれるのなら俺はうれしい。」

3つ目はかいという名前の男の子と、少し遅れていくみという名前の女の子が『おそら』にやって来たことだ。

かいはひかりたちよりも大きく、やせ形の子供だった。

4つ目はひかりがたまに物思いにふけっている様子をみせることだった。

『あれは何なんだろう?』

ひかりは強い光の中でひかりを囲むように立っている帽子とマスクをした大人たちの光景が頭から離れなくなっていた。怖さと寂しさと懐かしさが混じったこれ以上思い出したくないような、でも知りたいような複雑な気持ちだった。

「ひかりちゃん、ちょっと様子変ですよね?」

前田がおっちゃんに言った。

ひかりは前田が来るとうれしそうに寄っていってお菓子をねだったり遊んでもらったりするが、ふと遠くの方を眺めていることがあるので前田は心配になっていたのだ。

「前田さんもそう思いますか?」

おっちゃんもひかりの様子が気になっていたところだった。

「あの子は虐待死じゃなかったですよね?SIDS(乳幼児突然死症候群)だったのですか?」

前田が聞いた。おっちゃんはしばらく黙って、

「ひかりは…俺が連れてきた。SIDSはひかりじゃなくてそうただったんだが…ひかりは記憶を思い出しかけてるのかもしれん…恐らく断片的に。」

前田も真剣な顔になった。

「点と点同士が線になるかどうか…線になったとしてもひかりは受け入れられるかどうか…」

おっちゃんは腕組みしてまた黙ってしまった。


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