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おそらのきみへ  作者: ひかり
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おべんきょう

「おーい!お勉強する子はこっちに集まれい!」

おっちゃんが戻ってきた。

「ひかりはどうする?」

せいらがひかりの顔をのぞきこんで聞いた。

「お勉強ってなにするの?」

ひかりにはお勉強の意味すら分からなかった。

「じゃあ行ってみようか。」

せいらがひかりの手を繋いでおっちゃんの所へ連れていった。さっき会ったれんととこうたろうとたいがはすでに同じ机でドリルを使って勉強していた。

「おっ、ひかりも来たか。せいらはこれの続きだ。ひかりはこっちからだ。」

おっちゃんはせいらにはひらがなドリルと鉛筆、ひかりにはスケッチブックと色とりどりのクレヨンが入ったケースを渡した。

「まずはこれを握ってほら、線が描けただろ!」

2人が席に座ったあと、おっちゃんはひかりの手に赤色のクレヨンを握らせて線を描かせた。ひかりは面白くなってスケッチブックにいっぱい線や点を描いた。スケッチブックが真っ赤になったので、おっちゃんが次のページをめくってくれた。

「ひかりは飲みこみが早いな。ほら、色んな色があるからもっと描いてごらん。」

ひかりは笑顔で頷いて色んな色でスケッチブックをぐちゃぐちゃに描きまくった。

横に座っているせいらは、

「ま、み、む、め、も。」

と言って真剣な顔でひらがなを書く練習をしていた。ひかりはスケッチブックに夢中だった。

「ひ、か、り。」

突然ひかりたちの机の前に来た女の子がひかりの足元を指さして言った。それを見ていたおっちゃんが、

「さくら、偉いぞ。字も読めるようになったんだな。ひかり、靴下脱いでごらん。」

ひかりはせいらに靴下を脱がしてもらった。

靴下のくるぶしのあたりに

“ひかり”

と書いていた。

おっちゃんがひかりの頭にポンと手を当てて、

「これはお前の名前が書いているんだよ。ひかりももっとお勉強して字を読めるようになるといいな。」

ひかりはじっと靴下の文字を見つめた。せいらが、

「“ひ”と“か”なら書けるよ。」

と言ってひかりのスケッチブックに“ひ”と“か”を書いてみせた。ひかりも真似しようとしたがミミズのようなものしか書けなかった。

「焦らなくていいんだよ。ひかりは今日初めてクレヨン握ったんだ。それだけでも十分だよ。」

おっちゃんがニッコリ笑った。

「さぁ、お勉強を頑張った子にはおやつをあげよう!」


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