たいふういっか
山田はおっちゃんと佐藤の言葉に何も言い返せないまま『おそら』から出ていった。
「部長とは何の話してたんだ?」
佐藤がおっちゃんに聞いた。
「女性天使の導入も検討しはじめることと下界の今の現状の話を聞いてきた。」
「山田を追い出す策を練ってたわけじゃなかったのか。」
佐藤は期待外れだったという顔をした。
「あの人は勘違いしてるだけだっただろ?子供を転生させるのにノルマがあるとでも思ってたんだろな。」
前田は納得した顔をした。
「私、今回『おそら』に来てよかったです。私が用意したお菓子を楽しみにしてくれている子がいたのを知れて。あの子たちのために美味しいお菓子を色々考えてあげようって思えるようになれました。」
前田が笑顔で言った。
「前田さんはいつもよくしてくれてますよ。女性天使の規制が緩和されたらまた『おそら』に遊びに来てください。佐藤なんかしょっちゅう来てるんで。」
おっちゃんは笑いながら言った。やっとおっちゃんの表情が柔らかくなって佐藤は安心して、
「俺なんかでも『さとー、さとー』って呼んでくれるからな。前田なら規制緩和前でも特別に入る許可でるだろ。」
と言った。
「では、私は戻ります。また、遊びに来させてもらいますね。」
そう言って前田は消えた。
「じゃあな、ごっさん。あの子が決断したら知らせてくれよ。」
「あぁ、佐藤。ありがとな。」
佐藤も消えた。そうたはおっちゃんの腕の中でうとうととしていた。
『そうた、また寝るかな…』
おっちゃんはそうたを抱いて歩きだそうとしたとき、
「おっちゃん。」
後ろからさくらに呼ばれた。
「さくら、起きたのか。」
おっちゃんは振り返り、さくらに近づいた。
「おっちゃん、あのね…そうたの顔…見せて。」
おっちゃんは一瞬驚いたが、笑顔でしゃがんでさくらにそうたの顔を見せた。
『さくら…そうたに近づいたことなかったもんな。』
さくらはじっとうつらうつら寝かけているそうたの顔をじっと眺めていた。
しばらくしてそうたは寝入ってしまった。さくらは安心した顔になり、
「おっちゃん、そうたも生まれ変わるの?」
と聞いた。
おっちゃんは驚いて、
「どうしてだい?」
と聞き返した。
「さくらはね、逞と仲良くしたかったの…でももう逞と仲良くできないの。逞のこと思い出すからそうた抱っこできなかったの。」
おっちゃんは相づちをうちながらさくらの頭を撫でた。
「さくらね…生まれ変わったら弟と仲良くしたい。」
さくらはまだ何か言いたげにもじもじしていた。おっちゃんはハッと気づいた。
「そうたと姉弟になって生まれ変わりたいんだな?」




