表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おそらのきみへ  作者: ひかり
28/53

おっちゃんとおそら

『おそら』はもともと死んでしまって『極楽』に行けずに迷ってしまった子供の魂を一時的に預かって、一定期間を過ぎると転生させる場所だった。

しかし、100年ほど前に虐待を受けて死んだ子供が迷いこみ、当時『おそら』の担当していた女性天使と母親をダブらせてしまってパニックを起こして『おそら』の担当をおっちゃんに変えたのだった。

「今後、下界の流れ次第では虐待で死んでしまう子供が増える可能がある。」

天国を統括する『天国部』の部長の判断だった。

「『おそら課』の異動の話が出たとき、ごっさんはかなり悩んでいた…『俺に子供の世話なんかできるのか』ってな。子供の世話は女性の方が適任だとも言ってたな。」

『おそら』に初めて来たおっちゃんは戸惑いながらも子供たちの世話を始めた。しかし、だんだん疑問が出てきた。

「ここに来ている子供には『訳あり』な子供もいる。そんな子供を生前の記憶がないのを理由にただ機械的に転生させて良いのだろうか。」

おっちゃんは『おそら』に来る子供を『訳あり』な子供、親の愛情が足りずに死んだ子供の魂のみを受け入れて、生前の記憶と向き合わせてはどうかと提言した。

「子供たちの心を救ってやりたい…生前の記憶を思い出しても転生後はまた忘れてしまうが、それでも心があるのにはかわりないだろ。」

そう訴えて、記憶の戻った子供に転生か『極楽』に行くか選択させることになった。

さらに、『転生課』に協力してもらい、転生先の親にまた虐待されることがないように本当に愛情を持って育ててくれる親を優先的に紹介してもらうようにもした。その担当になったのが佐藤だった。

「もともと『転生課』だったからすんなり通ったんだが、部長の言った通りだんだん虐待死した子供が増えてきて、しかも色々な事情を抱えた子供も増えてきたからごっさんはまた悩んでたんだ。『俺1人で子供みんなの心を救えるだろうかって。女性天使の導入もまた検討した方が良いかもしれない』ってな。」

山田の口元がわずかにゆるんだ。佐藤はそれを見逃さなかった。

『おそら』(ここ)はごっさんのお陰で子供の笑顔が増えた。下界に転生した後も、親友になったりとか結婚したのもいたな。ごっさんのお陰で子供たち同士の絆もできたんだ。簡単に楽に業績を上げれる場所だなんて言わないでくれ。」

佐藤の目はとても真剣だった。山田は少し怯んでしまった。

「でも、まぁ、今後女性天使の導入は検討していこうとは思っていますよ。」

おっちゃんがそうたを抱いたまま戻ってきた。

「確かに、子供を転生させれば業績として残りますがね。『おそら』(ここ)の今のシステムだとなかなかうまくはいかないと思います。」

おっちゃんが山田に言った。そうたはキョトンとした表情でおっちゃんの顔を眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ