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おそらのきみへ  作者: ひかり
27/53

さくら2

「結局、あの子はずっと勘違いしてたんだな。」

佐藤が言った。子供たちがお昼寝中なので、佐藤とおっちゃんと山田と前田の4人で話し合いが行われた。

「あぁ、いなくなった子たちは元の家族に戻っていったと思い込んでたみたいだ。だから生前の記憶を思い出してもさくらなりに必死で俺に隠してたみたいだ。」

おっちゃんが言った。

「元の母親のところに生まれたいって言う子、多いけどな。」

佐藤がため息をついて言った。

「そこまで頑なに母親を拒んでいたなんて…」

前田も悲しそうに言った。

「さくらはちょっと複雑で…」

おっちゃんが話始めた。

さくらが生まれた後、父親はリストラにあい、生活が苦しくなり、父親はだんだん荒れていき、母親に暴力を振るうようになった。

母親はさくらを連れて知人男性の家に逃げたが、なんとその男性との間に子供ができてしまった。その子がさくらの父親違いの弟の逞だった。

逞が生まれる前は男性はさくらのことをかわいがってくれていたが、逞が生まれるとさくらよりも自分の子の方がかわいいのでさくらの相手をしなくなった。

さらに、母親もさくらがだんだん夫に似てきたのが疎ましくなり、さくらを遠ざけるようになった。

母親の友人が遊びに来たとき母親が、

「あの子、田所に似て全然かわいくないわ!」

と言っているのをさくらは聞いてしまった。

「そんなことないよ。あんたにも似てるじゃん。さくらちゃん、かわいらしいよ。」

友人はそう言ったが、母親の言葉にさくらはかなり傷ついた。

さくらは家にいても1人ぼっちだった。

『みんな、さくらのこと嫌いなんだ。』

ずっとそう思っていた。

ある日、さくらはベランダから空を眺めていた。雲がゆっくり流れているのを見て、手を伸ばして掴もうとした。

「あっ!」

そう叫んだが、さくらは体を滑らせてベランダから地面に落ちてしまった。

「さくらの場合、事故だったが、母親の不倫とか育児放棄も世間に明らかになってしまって下界のワイドショーをしばらく賑わせていたみたいだ。それでようやく母親は冷静になってさくらを失った大きさを痛感したようだ。」

前田は涙目になって聞いていた。

「本名を呼ばれて拒絶反応を起こしたのは母親のせいだったのね。」

「あぁ、おっと。そうたが起きたみたいだから行ってくるわ。」

おっちゃんは泣いているそうたの元へミルクを持っていった。

「あんたは『おそら』(ここ)のこと何か勘違いしてるんじゃないか?」

佐藤はずっと黙ったままの山田に少しキツい口調で言った。

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