さくら1
「大丈夫か?!」
前田が消えて1分ほどでおっちゃんが戻ってきた。前田も遅れて現れた。
「後藤さん、大丈夫ですわ。私がいますので…」
山田は平然を装っているのがバレバレだった。さくらがパニックになって焦っているのが子供たちでも分かった。
「さくら…」
おっちゃんはさくらに駆け寄り、抱き上げた。さくらはやっと落ち着いた。
「さくら、ちょっとお散歩でもしようか…ひかり?」
おっちゃんがひかりが呆然と立っているのに気づいた。
ひかりは自分の名前を呼ばれて我に返った。
「おっちゃん…」
ひかりはやっとおっちゃんに気づいたようだ。
「ひかりちゃん、みんな、おやつのグミあげようか。」
前田が笑顔で子供たちに言った。子供たちも笑顔が戻った。
前田はおっちゃんに目配せした。
「すまない。」
おっちゃんはさくらを抱っこしたまま歩き出した。
「さくら、すまなかったな。」
おっちゃんはさくらの頭を撫でて言った。
「…さくら、また1人ぼっちになりたくない…ずっとここにいたい…」
おっちゃんはため息をついた。
「やっぱり、とっくに思い出していたんだな。」
さくらはおっちゃんにしがみついた
「イヤ!さくらはここにいるの!」
そう叫んでまた泣き出しそうになった。
「さくら、生きていた記憶を思い出した子はね、生まれ変われるんだよ。」
「生まれ変わる?」
さくらは少し落ち着いた。
「ちがうママとパパの子供になるんだ。ただ、もうさくらはさくらじゃなくなるけど。」
「どのママとパパの子供になるの?」
「それはまだ分からないが、『おそら』に来た子供たちはちゃんと愛情を注いでくれるママとパパのところに生まれ変われるんだ。」
「みんな…生まれ変わったの?のあも、みんとも、まろんも、りんも、あかりも、れんとも、こうたろうも、たいがも、せいらも…」
「あぁ、そうだよ。」
おっちゃんは笑顔でさくらの顔を見て言った。
「さくらはもう1人ぼっちにならない?」
「もちろんだ。佐藤がさくらの新しいママとパパを探してくれるんだ。」
さくらは床に穴を掘った。穴からはある家の中が見えた。女の人とさくらよりも少し大きな男の子がいた。女の人は仏壇に手を合わせていた。
「前は逞と楽しそうに笑っていたのに今日は悲しそう…」
おっちゃんもさくらが掘った穴をのぞきこんだ。
「さくらのママはやっぱりさくらがいなくて寂しいんだよ。」
さくらは涙目になった。
「ママ…」
おっちゃんはさくらの頭を撫でて、
「残念だが、さくらは死んでしまったからもうママには会えないんだ。でも生まれ変わって新しいママとパパに会いに行くことはできる。」
と言った。
さくらはまっすぐおっちゃんの顔を見た。
「難しい話だが、ゆっくりでいい。さくらが決めるんだ。その間はここでみんなと遊んだらいいからな。」
さくらはしばらく黙っていたが、
「逞、さくらよりも大きくなっちゃってる。」
と涙目で少し笑って言った。




