きょかしょう
『おそら』に山田がやって来た。
「許可が出ましたわ!」
そう言って山田はおっちゃんに近づいてきた。そして得意気な顔でA4サイズの“許可証”と書かれた紙をおっちゃんに見せた。
子供たちは突然の山田の訪問にビックリしてじーっと山田を見ていた。
「ごっさん、大変だ!部長と課長が折れたぞ!」
と声を荒げて佐藤も現れた。
「あら、『転生課』の佐藤さん。」
山田が笑顔で言った。佐藤は山田と目があって怯んでしまった。
「ほら、許可が出ましたの。」
山田が佐藤にも許可証を見せた。
「『許可証、地獄部取り調べ課、山田に…』」
佐藤が読み上げている途中で山田が許可証をたたんでなおしてしまった。
「48時間だけですが、私も子供たちの転生のお手伝いしますわ。」
「転生のお手伝いって…それが目的で無理やり入って来たんだろうが。」
佐藤がボソッと悪態をついた。
「あの…こんにちは。」
前田も現れた。
「前田も許可とって来たのか?」
佐藤が呆れながら言った。
「いえ、課長に頼まれて来ました…山田さんを見とけって。」
前田は後半は小声で言った。
「どういう経緯で許可が出たんだ?」
佐藤が前田に聞いた。山田は女性天使だけが所属している『女性天使会』の書記をしているので女性天使会の名前を利用して『天国部』部長とその下にあるおっちゃんも所属している『おそら課』の課長に直談判した。
「女性差別ですの?!『おそら』の子供たちはきっと私たち“女性”の方がなついてくれますわ。」
「私なら子供たちみんなをすぐに転生させれますわ。」
などとしつこく訴えてこられて部長たちは渋々、48時間限定ということで山田が『おそら』に入るのを許可したのだった。
「部長がまさか許可するとは思ってなかったぜ。」
佐藤がため息混じりに言った。
「相当しつこかったそうですよ。課長も私に頼みに来たときすごく疲れた顔してらしたので。」
前田はこそっと佐藤に言った。
「後藤さんは休んでて下さいな。私が48時間、ちゃんと子供たちの面倒をみてますから。」
山田がニコニコしながらおっちゃんに言った。
「いえ、そういうわけには…」
おっちゃんが言いかけると、
「こんなに楽に自分の業績を上げれる仕事をあなたが独占しているお陰で、私たち女性天使にイイ仕事がまわってこないのよ。」
と山田がキッとおっちゃんをにらんだ。
「業績って…」
おっちゃんが驚いた顔をした。
「やっぱり、それが本音だろ。」
佐藤が呟いた。前田も頷いた。
子供たちは4人のやりとりを眺めていたが、全く状況が飲み込めないでいた。
「ねぇ、あの人たち、だれ?」
ゆあがひかりに聞いた。ひかりは首を横に振ってさくらを見た。
「さくらも知らないよ。初めて見た。」
山田は子供たちのほうにニッコリ笑いかけた。
子供たちはビクッとして固まってしまった。




