さべつとくべつ
おっちゃんは『おそら』ではない天国のとある場所でスーツ姿の女性の天使2人と話していた。
「差別ですよ。」
40代ぐらいの小太りの赤ぶち眼鏡をかけてスカートを履いている1人が眉間にシワを寄せて言った。
「『おそら』に女性天使が入れないなんて!」
おっちゃんはため息をつきながら、
「だから差別じゃなくて、女性天使が母親の記憶を思い出す引き金になりやすいんですよ、山田さん。過去にパニックになった子供が多かったんで…」
「知っていますよ!」
山田と呼ばれた女性天使が割って入った。
「でも、何百年前の話でしょ?!今と昔は違いますよね、前田さん?」
山田の横でめんどくさそうな顔をしていた前田と呼ばれた女性天使が突然自分の名前をビックリした顔になった。パンツスーツで、長い髪を後ろに束ねていて見た目も30代ぐらいに見える。
「あっ、えーっと、後藤さん、子供たちはさっきのグミ喜んでくれましたか?」
おっちゃんの顔が少し緩んだ。
「佐藤にあげてもらいますが、喜んでくれると思いますよ。いつもありがとう。」
「そうですか。いつもクッキーばかりじゃ飽きてきますよね。気がつかなくてすいませんでした。」
「いえ、クッキー大好きな子、多いですよ。」
「前田さん、そんな話は後にして下さい!」
おっちゃんと前田が勝手に別の話をしているので、山田が怒って言った。
「後藤さん、あなたから部長にいってくださるかしら?『おそら』で女性天使が仕事できるように。今時、男女差別なんてどうかしていますわ。」
おっちゃんもうんざりしていた。
「『差別』じゃなくて『区別』ですよ。子供たちの心を1番に考えてあげてください。」
前田も小さく頷いていた。
「こんなことばっかりしてて仕事に支障が出てきませんか?」
前田が少し嫌味っぽく言った。
山田は前田をキッと睨んで、
「そちらの部長に話してきます。また来ますわ。」
そう言って消えた。
「後藤さん、面倒な人に目つけられてしまいましたよね。」
前田が言った。
「まぁ、俺は子供たちの面倒を見るだけだから楽な仕事だと思われているんだろな。前田も巻き込んですまなかった。」
「いえ、あの人が勝手に巻き込んできただけですよ。それに私が『天国部』にいるのが気にくわないのでしょうね。子供たちのおやつ、何かまた希望があったら言ってくださいね。」
そう言って前田は消えた。
おっちゃんはため息をついて『おそら』に戻った。




