はんぶんこ
せいらがいなくなってしまってひかりはずっと元気がなかった。
さくらが遊びに誘ってもしょんぼりした顔で首を横に振るだけだった。
ひかりはおやつのクッキーをもらってとぼとぼと歩いていた。
いつもならせいらと『おいしい、おいしい』と言いながら食べるのにそれができないのがすごく悲しかった。
ふと、目の前にそうたのゆりかごがあるのに気づいた。ゆりかごからそうたの小さい手が時々見えかくれしている。
『そうた起きてる。』
ひかりはゆりかごに駆け寄った。
そうたは手や足を動かして一人遊びしていた。
ひかりはそうたのほっぺたを人差し指で押してみた。
ひかりに気づいたそうたは笑顔になった。
そうたが笑ってくれたのでひかりもうれしくなった。
「あっ、そうだ!」
ひかりは持っていたクッキーを半分に割った。
「そうたにもあげる。」
ひかりは割ったクッキーをそうたの口に持っていこうとした。
「ひかり!」
後ろから突然おっちゃんに呼ばれてひかりはビックリして危うくクッキーを落としてしまうところだった。
「ひかり、そうたは赤ちゃんだからクッキーを食べれないんだ。ゴメンよ。」
ひかりは残念そうに手に持っていた割れたクッキーを眺めていた。
おっちゃんはひかりの頭を撫でながら、
「ひかりは優しいな。」
と言った。褒めてもらってひかりもうれしかった。
「はい、おっちゃん!」
ひかりはそうたにあげるつもりだったクッキーをおっちゃんに差し出した。
「ありがとう。ひかりはこのクッキー好きだろ?ひかりが食べてくれよ。」
そう言っておっちゃんはひかりにクッキーを返そうとしたが、
「一緒に食べるの。」
ひかりはニッコリ笑ってもう半分のクッキーをおっちゃんに見せた。
おっちゃんもニッコリ笑った。
「そっか、じゃあ一緒に食べよう。」
ひかりは半分になったクッキーを口に入れた。
「おいしい!」
「あぁ、ひかりにもらったクッキーおいしいな。」
ひかりは1人で寂しく食べていたクッキーよりもおっちゃんと半分にしたクッキーの方がとてもおいしく感じていた。いつもの半分なのでひかりは笑顔でクッキーの味をかみしめていた。
そうたは大きなあくびをしたあと寝てしまった。
ひかりもゆりかごの側でゴロンと横になっていたが、いつの間にか寝てしまった。
「ようやく笑顔が戻ったな。よかった。」
おっちゃんは寝ているひかりにブランケットをかけながら呟いた。




