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おそらのきみへ  作者: ひかり
16/53

だいすき

ひかりはいつもの様にせいらとキャッキャッはしゃぎながら遊んでいた。

ゴロンと床に寝転がってせいらは言った。

「ひかり、大好き。」

ひかりは思わず照れてほっぺたを手でおさえた。

せいらもニカっと笑った。

ひかりが遊び疲れて寝てしまった。

せいらが寝ているひかりの頭を撫でた。

「ひかり…バイバイ。大好き。」

そう言ってせいらは少し離れたところに立っているおっちゃんのところへ走っていった。

せいらはおっちゃんにニッコリ笑いかけた。

「よく決めれたな。」

おっちゃんはせいらに言った。せいらは頷いた。

「今度はママだけじゃなくてパパにもいっぱいぎゅうしてもらえるからな。」


24時間前のことだった。

せいらはおっちゃんに涙目にして言った。

「ママに会いたい…ママにぎゅうして欲しいよぉ…」

おっちゃんは困った顔をして、

「せいらのママに会わせてやりたいんだが…ママにはお休みが必要なんだ。ずっと1人でせいらを守ってきたから。」

と言った。せいらは泣きそうになった。

「せいらはママのこと本当に大好きなんだな。」

せいらは大きく頷いた。目から涙が溢れてきた。

「会いたいよぉ…ママ…」

「せいら、『おそら』に来た子供はね、生きているときの記憶を思い出したら『極楽』に行って死んだ大人たちと静かに暮らすか、ママのことも『おそら』のことも忘れて生まれ変わるか…どちらか選ばなきゃいけないんだよ。せいらのママとはもう2度と会うことはできないが新しいママのところに生まれ変わることはできるんだ。」

「ママがいいの…せいらのママがいい…」

せいらは泣き出した。

「同じママからは生まれ変わることができない決まりなんだ。」

せいらは泣き続けた。おっちゃんはせいらの顔をまっすぐ見て、

「せいらのママは頑張った分お休みしなければならないんだ。どれだけかかるかは分からないけど、これだけは言える。せいらのママのこと大好きな気持ちがいつかママの心を助けることになる。」

せいらは嗚咽をこらえながら、

「せいらが…ママ…助けるの?」

「あぁ。」

おっちゃんはこの後すぐに佐藤に会いに行った。

佐藤はある夫婦をおっちゃんに紹介した。


“笹川家

夫:信吾

妻:麻衣子

〇現在

自営業

自宅兼職場で2人暮らし

〇未来

2人の女子が産まれる

■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■”


「ちなみに夫は例の杉原純也と友達だそうだ。」

佐藤が言った。おっちゃんはかなり驚いたが、

「あんたが『純也を地獄行き候補に』とか言ったからだよ。上は加賀美清羅の心次第で死後、地獄に行くかどうか決めるのかもな。」

「じゃあ、せいらは生前の記憶を残したまま生まれ変わるのか?!」

おっちゃんは怒鳴り声になった。

「ごく一部の記憶だけだそうだ。でも、生まれ変わるかは本人次第だけど。」

おっちゃんは頭をうなだれてしまった。

「ちなみに5歳までに記憶は全部消えるそうだ。」


「ひかりのこと、忘れたくない…一緒に生まれ変わりたい。」

せいらはおっちゃんに言った。

「ひかりはまだ思い出していないんだ。でもな、『おそら』に来た子供たちには特別な『絆』があるんだ。もしかしたら生まれ変わった先でもひかりに会うことになるかもしれないぞ。」

「本当?」

「あぁ、ひかりを信じてやってくれ。」

佐藤がせいらを迎えにやってきた。

せいらは佐藤に手を引かれて歩き出した。

せいらは振り向いて、

「おっちゃん、ありがとう!おっちゃんも大好き!」

そう言うと佐藤と一緒に消えてしまった。


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