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おそらのきみへ  作者: ひかり
10/53

うまれかわる

12時間後、ひかりたちは遊び疲れて眠っていた。

れんととこうたろうはおっちゃんに抱かれて眠っているたいがと佐藤が来るのを待っていた。

「準備できたか?」

佐藤が『おそら』に現れ、4人に近づいてきた。

「佐藤、この子たちを頼んだぞ。」

佐藤は四角い平べったい黒い板のようなものを出した。

「これ、『タブレット』っていうんだけど、えーっとこれだな。」

佐藤はタブレットの画面をタッチして、ファイルを開いた。おっちゃんが不思議そうにタブレットを覗きこんだ。

「この前見せたスマートフォンのパソコン版みたいなものだ。この子たちの転生先の家族のデータだ。」


“藤並家

夫:朝日

妻:愛

〇現在

夫婦共に会社員で共働き

3LDKのマンションで2人暮らし

愛と姑の関係は良好

〇未来

3人男子が産まれる

愛は長男出産前に退社、専業主婦となる

次男出産後家を購入

■■■■■■■■■■■■■■”


「こんな…未来のことまで…上層部しか知り得ない情報をよく手に入れたな。」

おっちゃんは目を丸くして佐藤を見た。

「まぁ、大分頑張ったからな。ちなみに塗りつぶされているのはこの子たちの未来の情報だから見せられないだとさ。」

れんととこうたろうもタブレットに興味を示し、背伸びして覗こうとした。

「おっと、お前たちには見せられないんだな。ただ、これだけは教えてやる。お前たちがこれから生まれ変わった時のパパとママはお前たちを一生懸命大事に育ててくれるからな。」

佐藤が意地悪っぽく笑いながら言った。

「佐藤、本当にありがとう。」

おっちゃんは深々と頭を下げた。それを見たれんととこうたろうもお辞儀した。

「佐藤はお前たちのために良いパパとママのところに生まれ変われるように色々頑張ってくれたんだよ。」

おっちゃんがれんととこうたろうの頭を順番に撫でながら言った。

「さとー、ありがとう!」

「さとー、良い人!」

れんととこうたろうが笑顔で佐藤にお礼を言った。

「良い人って…俺、どう思われてたんだ?まぁいいか。」

佐藤は照れくさそうにしているのを見ておっちゃんも

笑顔になった。

「ちなみに母親は4人兄弟の2番目で、1つ上の兄、2つと6つ下の弟がいるそうだ。男の子の扱い慣れしてるから安心だな。」

佐藤がおっちゃんにこっそり捕捉説明した。

「じゃあ、行くか。兄貴の方は母親のお腹にすぐに転生だ。2番目は2年後、3番目はその2年半後まで魂の状態になって眠ってもらうが、いいか?」

れんととこうたろうが大きく頷いた。たいがはぐっすり眠ったままだった。

「それと、生前…生まれ変わる前に生きていた記憶とここでの記憶がなくなるからな。まっさらな状態で生まれ変わる…」

「おっちゃんのことも?」

こうたろうが泣きそうな顔で聞いた。

「あぁ。」

おっちゃんが答えた。

れんともこうたろうもうつむいてしまった。

「おっちゃん…また会える?」

れんとが目を潤ませながら聞いた。

「もう会えない方が幸せだってことだぞ。お前たちが俺のことを忘れても俺はちゃんと覚えているからな。時々、『おそら』から見てるから。」

こうたろうがおっちゃんの足にしがみついて泣き出した。おっちゃんはしゃがんでこうたろうの顔をまっすぐ見つめながら、

「『ママの次に大好き』って言ってくれたよな?俺にとって最大級の誉め言葉で宝物だ。新しい兄弟ができて良かったじゃないか。もう1人ぼっちじゃないぞ。」

と声を震わせながら言った。そしてれんとには、

「今度は3人兄弟の兄貴だな。いっぱい遊んでやってくれよ。そして今度はパパとママがお前のこと、しっかり愛して守ってくれるからな。何も心配ないぞ。」

と言った。れんとも泣き出してしまった。

おっちゃんは佐藤に抱いていたたいがを渡した。そしてくるりと背を向けた。

佐藤はたいがを抱き上げて、れんととこうたろうの手を引いた。

「後は任せた。」

背を向けたままおっちゃんが言った。

「あぁ。」

「おっちゃん、バイバイ。」

「ありがとう、おっちゃん。」

佐藤と子供たちは消えてしまった。

おっちゃんの肩が小刻みに震えていた。


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