第7話
いろいろ知りすぎた
百合さんはそういって僕の手首にあるものをつけた。
「黒木くんには手伝ってほしいこと沢山ある。けど無理にとは言わない。こんな話を聞いて引いたかもしれないし。
私を助けてくれるなら、明日もう一度ここに来て」
家へ続く帰り道で、そんな言葉を思い出した。
引いてはいないんだけど。正直驚いた。百合さん自身は殺しはしてないけどそんな組織に関わっている時点で犯罪だよなぁ。
僕も手伝ったら犯罪者扱いか……。
………………ところで、この手首の物はなんだろう。家にかえったら調べてみよう。
「ただいま」
控えめに挨拶をしながら家に入る。本来ならまだ学校が終わっていない時間。
「あら、おかえりー。早いわね」
母の言葉を無視。そのまま二階の自室に駆け込む。………なにも言われないから安心。
「よし…」
左手首につけられたリングをまじまじと見つめてみた。接合部は一度つけると外せないようになっていた。まったくもってただのリングにしか見えない。…と、リングの内側をよくみると
「あな?」
縫い針で刺したような小さな穴があった。
「なんだこれ」
何気なしにリングを手ごと振ってみた。
ちゃぷ…
「?水?」
なにか液体のような音…。リングに内蔵されているのだろう。
耳に当ててもう一度振る。またちゃぷちゃぷと音が……ん?
と…時計のような音もする。
「!まさかっ!!」
明日僕が行かなければ、僕は死ぬんじゃ…!?
これは僕の推測だけど、このリングには毒が内蔵してあって、ある時間になったら小さな穴から注射針の様なものが僕の手首にささり、毒を注入。それを解除するには、もう一度百合さんの元へ行かなければならない。百合さんの元へ行けば強制的に手伝うことに…。
「まじかよ………?」
行かなければ、待っているのは死…。
「………まだしにたくはないな」
溜め息。
まぁこんな装置なくても行くつもりだったがな。
明日は今日にも増して疲れそうな予感。