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魔族領で暮らす勇者②

勇者が魔族領で暮らすようになり、城下町に住む魔族達の反応はガラリと変わった。




「アーサー、すまんがこの荷物運ぶのを手伝ってくれんか?」




「了解!これなら僕一人で持って行けるからジーノ爺ちゃんは休んどきな。」




「ふぉふぉふぉ。ならお言葉に甘えるかの。」




最年長の爺さんの家で厄介になりながら魔族領での暮らしを楽しむアーサー。




「おーいアーサー兄ちゃん。街の外に猪の魔物が出て暴れてるから討伐してくれって、警備隊の人が呼んでたよー!」




「分かったー!すぐに行くって言っといて。」




街の人たちから頼られるようになり、人々の手助けをしながら生活をしていた。




「アーサーさんこれ持っていきな!今朝採れたてのマンゴンの実だよ。」




「ありがとうお姉さん!今日も美人だね!」




「この子は嬉しいこと言っちゃって。ほらおまけでもう1個だよ!」




「ありがとう!」




果物屋のお姉さんからマンゴンの実を受け取ると街の外に出た魔物の討伐に向かう。




「はい終わりと。」




猪の魔物に光魔法を放つと魔物は力なく倒れた。




「おお!いつ見ても見事な手際だなぁ。アーサーが警備隊の手伝いしてくれてほんと助かるぜ。」




「こちらこそいつも美味しいお肉とか分けてもらってるからね。困ってる時はお互い様だよ。」




「人間にもお前みたいな良い奴がいたんだな。。これからもよろしくな。」



アーサーが人々と助け合いながら生活をするうちに、魔族達のアーサーに対する反応はガラリと変わった。



最初こそ戸惑った魔族達であったが、アーサーの人懐っこい性格もありすぐに受け入れられた。



ちなみに警備隊のリーダーはゼノンが広場でアーサーを紹介した時に、怪訝そうな表情をしていた一人である。



今となっては誰一人アーサーのことを悪く思う人はおらず、今までずっと一緒にいた仲間のように接していた。




「今日も魔王様のとこに行くのか?」




「うん。何かお土産持って行ってあげないと拗ねるからね。」




「拗ねるって……魔王様にそんなこと言えるのお前くらいだぜ。」




アーサーと警備隊のリーダーは笑いながら城下町を歩く。




「それならこの魔物の肉とお酒でも持っていくか?こいつの肉は焼くとうめぇぞ。」




「へー。美味しいなら僕も食べたいから少し多めに欲しいな。その代わり明日も仕事手伝うよ。」




「それは助かるぜ!解体場で肉を切ってやるよ。」




二人で猪の魔物を解体場に運び込むと数名がかりで解体が行われた。



あっという間に解体されるとアーサーは約束通り肉を受け取る。




「あとこれ持って行ってくれ。」




目の前に出されたのは一升瓶だった。銘柄は『魔王殺し』。




「ゼノンが見たら怒りそうだね。」




「怒るだろうなー。」




警備隊のリーダーは家から持ってきた一升瓶を、笑いながらアーサーに手渡す。




「ありがたく貰っていくね。じゃあまた明日。」




アーサーは手を振りながら解体場を後にする。




「あ、アーサーさんこんにちは。」




「お仕事ご苦労様です。ゼノン居ます?」




アーサーが来たのは魔王城。




「暇してると思いますよ?今日から皆さん職場復帰なので。」




門番からの情報で、以前ゼノンにボコボコにされた魔族達の職場復帰を知った。




ちなみにアーサーは何度か魔王城に遊びに来ており、その都度城の仕事を手伝っていた。



なのでボコボコにされた魔族達とは既に顔見知りであり、なんなら自分達の仕事を代わりにこなしてくれるアーサーに対して友好的になっていた。




「皆さん回復したんですね!これで僕の仕事も減りますね。」




「いやぁどうですかね。魔王様のことだから他の仕事渡しそうじゃないですか?」




門番が苦笑しながらアーサーに話すとため息を吐く。




「はぁ……あいつ僕のこと勇者だって分かってるのに国の重要な機密事項すぐに教えるからなぁ。」




「それだけ信頼されてるんですよ。」




「だといいけどね。」




アーサーは門番にお姉さんから貰ったマンゴンの実を渡すと場内に入った。

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