魔王の最期とゼノンの覚醒①
四天王のトップとして君臨すること十数年。
ここに来て人間側と魔族側との関係に変化が生じてきた。
原因は人間側で、自分達の住む領土を増やすため少しずつ魔物が住む場所を奪い始めたのだ。
魔王もこの出来事をきっかけに人間側に抗議を入れたが全く聞き入れられず、それどころかどんどんエスカレートしていき魔物が住む場所が激減していった。
それを防ぐため魔王も魔族を派遣したり、時には四天王を派遣したりして取られた領土を取り返しにいった。
しかしこれが人間側の罠であった。
『魔族が攻め入ってきた』など言い出し、自分達は被害者だと訴え出したのだった。
いくら魔族側が抗議しても聞く耳持たずであっという間に人間側は連合国を設立。
更には勇者召喚の儀を行うなど本格的に魔族を滅ぼそうとした。
戦争の火種は一気に燃え上がり人と魔族の戦争が勃発した。
しかし戦力の差は歴然。数の有利は人間側にあったとしても一人一人の戦力差は圧倒的で、開戦して一年もしない内に人間側から和睦交渉を持ちかけたのだった。
「面倒臭いが、これ以上争うのも無意味じゃし行ってくるのじゃ。」
魔王はこの案を受け入れ、王国で行われる和睦会議に参加するべく魔王城を離れた。
しかし魔王が戻ることは二度となかった。
和睦交渉をするつもりなど一切なく、王国軍は魔法が一切使えなくなる部屋に魔王と側近を入れると、一斉に襲いかかった。
魔法が無くても素の身体能力で何とか対応していたが、次々に現れる数の暴力の前では徐々に劣勢に陥った。
最後は勇者の剣によって首を跳ねられた。普段ならすぐ回復するのだが、勇者の剣は魔族の魔力を狂わせる効果があった。
さらに魔力封じの部屋の効果で再生魔法も治癒魔法も使えず。
魔王はそのまま息絶えた。
魔王が人間側の策略で討伐された旨は瞬く間に全ての大陸に伝わった。
当然魔王城で帰りを待つ魔族達にもだ。
彼らは泣いた。街に住む者まで泣いた。
その様子は今までなかった程の様子であった。
そしてすぐにゼノンは思い出した。
(なぜ今まで忘れていた?人間は愚かで卑怯で自分達の事しか考えない生き物だった……)
前世で裏切られ殺された時の記憶が一気に甦った。
なぜ今まで忘れていたのか?
それは魔王の子として生を受け、今まで暮らしてきた生活が幸せだったからだ。
辛い過去を忘れるくらい魔族ゼノンとしての暮らしは幸せだったのだ。
(誰だ?誰がこの幸せを奪った!?)
気づいた時にはゼノンの身体から膨大な魔力が溢れ出した。




